・直通階段の基準は?
・どんな建物に必要?
・注意点は?
元確認検査員の一級建築士が解説します。
直通階段とは
直通階段とは、建築基準法施行令第120条に規定される階段で、避難階又は地上まで直接通じている階段をいいます。
直通階段の設置が必要となる建築物は、以下のとおりです。
直通階段の設置が必要となる建築物等
・法別表第1(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物
・階数が3以上である建築物
・採光無窓居室(採光上有効な開口面積<床面積×1/20)を有する階
・延べ面積が1000㎡超の建築物
法別表第1(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途は、以下の通りです。
法別表第1(い)欄の用途
(一)項 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの
(二)項 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの
(三)項 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの
(四)項 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの
直通階段の要件
直通階段は、各階で次の階段まで誤りなく通じ、避難階又は地上まで直通する必要があります。
例えば、階段の途中に扉があったり、階段と階段の間に長い廊下がある場合などは連続性に欠けるとして、直通階段の要件を満たしません。
直通階段に該当しない例↓↓

なお、階段の出入口に設けられる扉であれば、問題ないです。
歩行距離
直通階段の設置が必要な建築物では、各居室から直通階段に至るまでの歩行距離が以下の数値以下になるように定められています。
| 主要構造部が準耐火構造である場合(特定主要構造部が耐火構造である場合を含む。)又は主要構造部が不燃材料で造られている場合 | その他の場合 | |
| (一) 令116条の2第1項第一号に該当する窓その他開口部を有しない居室(令和5年国交省告示第208号に適合するものを除く)又は法別表第1(い)欄(四)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 30m | 30m |
| (二) 法別表第1(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する居室 | 50m | 30m |
| (三) (一)項又は(二)項以外の居室 | 50m | 40m |
・主要構造部が準耐火構造である建築物(特定主要構造部が耐火構造である場合を含む)又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物の居室で、当該居室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁(床面からの高さが1.2m以下の部分を除く)及び天井(天井の無い場合は屋根)の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものは、上記の表に10を加えることができます。ただし、15階以上の階の居室は除きます。
・15階以上の階の居室は、上記に該当するものを除き、表の数値から10を減じなければなりません。
歩行距離の考え方は以下が基本になります。居室の最も遠いところから斜めに直線を引きます。
行政によって取り扱いも異なる場合があるので、申請先に必ず確認しましょう。

屋外階段の構造
直通階段で屋外に設けるものは、原則木造としてはなりません(準耐火構造のうち有効な防腐措置を講じたものはOK)。
2以上の直通階段
建築物の規模・用途等によっては、2以上の直通階段の設置が必要となります。業界では2直(にちょく)と呼ばれたりしています。
避難階以外の階が以下に該当する建築物に必要となります(施行令第121条)。
2以上の直通階段の設置が必要な建築物(避難階以外の階が以下のいずれかに該当する場合)(施行令第121条第1項)
一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供する階でその階に客席、集会室その他これらに類するものを有するもの
二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る。第122条第2項、第124条第1項及び第125条第3項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
三 次に掲げる用途に供する階でその階に客席、客室その他これらに類するものを有するもの(5階以下の階で、その階の居室の床面積の合計が100㎡を超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第123条第2項又は第3項の規定に適合するものが設けられているもの並びに避難階の直上階又は直下階である五階以下の階でその階の居室の床面積の合計が100㎡を超えないものを除く。)
イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ又はバー
ロ 個室付浴場業その他客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業を営む施設
ハ ヌードスタジオその他これに類する興行場(劇場、映画館又は演芸場に該当するものを除く。)
ニ 専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
ホ 店舗型電話異性紹介営業その他これに類する営業を営む店舗
四 病院若しくは診療所の用途に供する階でその階における病室の床面積の合計又は児童福祉施設等の用途に供する階でその階における児童福祉施設等の主たる用途に供する居室の床面積の合計が、それぞれ50㎡を超えるもの
五 ホテル、旅館若しくは下宿の用途に供する階でその階における宿泊室の床面積の合計、共同住宅の用途に供する階でその階における居室の床面積の合計又は寄宿舎の用途に供する階でその階における寝室の床面積の合計が、それぞれ100㎡を超えるもの
六 前各号に掲げる階以外の階で次のイ又はロに該当するもの
イ 6階以上の階でその階に居室を有するもの(第一号から第四号までに掲げる用途に供する階以外の階で、その階の居室の床面積の合計が100㎡を超えず、かつ、その階に避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するもの及びその階から避難階又は地上に通ずる直通階段で第123条第2項又は第3項の規定に適合するものが設けられているものを除く。)
ロ 5階以下の階でその階における居室の床面積の合計が避難階の直上階にあつては200㎡を、その他の階にあつては100㎡を超えるもの
2 主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物について前項の規定を適用する場合には、同項中「50㎡」とあるのは「100㎡」と、「100㎡」とあるのは「200㎡」と、「200㎡」とあるのは「400㎡」とする。
↑↑主要構造部が準耐火構造又は不燃材料である建築物は、面積を倍読みすることができます。
3 第1項の規定により避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路の全てに共通の重複区間があるときにおける当該重複区間の長さは、前条に規定する歩行距離の数値の2分の1をこえてはならない。ただし、居室の各部分から、当該重複区間を経由しないで、避難上有効なバルコニー、屋外通路その他これらに類するものに避難することができる場合は、この限りでない。
↑↑居室の各部分からの歩行距離を算出する際、2つの直通階段の歩行距離に重複がある場合、その重複距離は歩行距離の2分の1以下とする必要があります。
また、歩行距離は、2つの歩行距離の内どちらか一方が規定を満たせば問題ないです。

4 第1項(第四号及び第五号(第2項の規定が適用される場合にあつては、第四号)に係る部分に限る。)の規定は、階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の避難階以外の階(以下この項において「特定階」という。)(階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)と当該階段の部分以外の部分(直接外気に開放されている廊下、バルコニーその他これらに類する部分を除く。)とが間仕切壁若しくは次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める防火設備で第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されている建築物又は同条第15項の国土交通大臣が定める建築物の特定階に限る。)については、適用しない。
一 特定階を第1項第四号に規定する用途(児童福祉施設等については入所する者の寝室があるものに限る。)に供する場合 法第2条第九号の二ロに規定する防火設備(当該特定階がある建築物の居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた場合にあつては、10分間防火設備)
二 特定階を児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものを除く。)の用途又は第1項第五号に規定する用途に供する場合 戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)
↑↑小規模な建築物、つまり階数3以下・延べ面積200㎡未満の建築物については、病院・児童福祉施設・ホテル・共同住宅等の用途で、本来2以上の直通階段が必要になる場合でも、階段部分を壁や防火設備・戸で適切に区画して、階段を避難経路として確保できるなら、2以上の直通階段の設置までは求められません。
より詳細については、「建築物の防火避難規定の解説」にて解説されています。設計の際は必ず確認するようにしましょう。