建築 建築基準法(意匠)

増築について【確認申請が必要になるケース等について解説】

・確認申請が不要になるケースは?
・工事をしていなくても増築確認申請が必要になることがある?
・0㎡増築とは?

一級建築士が解説します。

増築とは

建築基準法上、増築とは、既存の建築物の敷地に新たな部分を追加することをいいます。

一般的には、建物を建て増ししたりするイメージが強いですが、建築基準法上の増築はそれだけではありません。

たとえば、次のようなケースは増築に該当する可能性があります。

  • 既存建物のある敷地内に別棟の物置や倉庫を建てる
  • 建築物に附属する塀を設ける
  • 既存建物に床を増設する

ポイントは、床面積が増えるかどうかだけで判断しないということです。

床面積が増えない場合でも、建築物として新たな部分を追加する場合は、建築基準法上「増築」として扱われることがあります。



確認申請が不要となる増築

確認申請が不要となる増築は、原則として次の2つの条件を満たす場合です。

  • 防火地域・準防火地域外であること
  • 増築、改築、移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であること


10㎡以下でも確認申請が必要となるケース

防火地域・準防火地域内で増築する場合

防火地域・準防火地域内では、10㎡以下の増築であっても確認申請が必要となります。

これは、建築基準法第6条第2項の確認申請不要の規定が、防火地域・準防火地域外に限定されているためです。

そのため、たとえば都市部の住宅地や商業地など、防火地域・準防火地域に指定されている敷地で増築する場合は、増築部分が小規模であっても確認申請が必要になります。

10㎡以下の増築を繰り返す場合

10㎡以下の増築を複数回行う場合も注意が必要です。

それぞれが独立した工事として完了している場合は、ただちに確認申請が必要になるとは限りません。

一方で、最初から10㎡を超える増築計画があるにもかかわらず、確認申請を避けるために10㎡以下の工事に分割して行うようなケースでは、一連の工事と判断される可能性があります。

そのため、小規模な増築を複数回行う場合は、工事時期、計画内容、一体性などを整理したうえで、事前に特定行政庁や確認検査機関へ相談することが望ましいです。


床面積が増えない「0㎡増築」に注意

増築というと、床面積が増えるものをイメージしがちです。

しかし、建築基準法上は、床面積が増えない場合でも「増築」として扱われることがあります。

たとえば、以下のようなものです。

  • 屋外階段の増設
  • 建築物に附属する塀を設ける
  • オーニングを設置する

特に、防火地域・準防火地域内で0㎡増築を行う場合は、床面積が増えないからといって確認申請が不要になるわけではありません。

建築基準法上、建築物に附属する門や塀も建築物とみなされます。
建築基準法第2条にて、建築物の定義が規定されています。

建築基準法第2条第一号
建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする

上記の黄色部分を読むと、そのように解釈できます。

ですので、防火地域・準防火地域内において、門や塀を増設する場合は増築確認申請が必要になる可能性があるので、建設地の特定行政庁や指定確認検査機関との協議を行うべきです。


工事を伴わない増築について

新築当時は床面積に算入されていなかったピロティや開放性のある廊下等において、新たに利用用途が変わり屋内的用途に供することになった場合、床面積への算入が必要となります。

その場合、床面積が増加することになるので、増築確認申請が必要になります。

たとえば次のようなケースはよくある事例です。

  • 屋外階段下部分に空調室外機等の設備や物品を設置する
  • 開放性のある廊下に目隠しスクリーン等を設置する

このように、増築工事を伴わない場合でも、確認申請が必要となるケースがあるので、注意が必要です。

さらに注意が必要なのは、上記のように床面積が増加する部分がある場合、同時に減築等により床面積が減少する部分があり、建物全体としては床面積が減少するとしても、増加部分が存在する以上、原則として増築確認申請が必要になる点です。

床面積の考え方については、以下の書籍で詳しい解説が記載されています。実務において必携とされている本です。


一体増築と別棟増築について

一体増築

既存建物に新たな建物部分を増設する場合、実務上、一体増築同一棟増築と呼ばれています。

ただし、一体増築といっても、考え方としては大きく次の2つに分けられます。

  • 意匠上も構造上も一体となる増築
  • 意匠上は一体だが、構造上はエキスパンションジョイント等で分離する増築

この違いは、既存建物への法適合の考え方や、構造計算の範囲に大きく影響します。

構造上も一体となる増築

既存建物と増築部分を構造上も一体として接続する場合、増築後の建物全体で構造安全性を確認する必要があります。

この場合、基本的には既存部分も含めて現行法に適合させる必要があり、構造計算も既存部分と増築部分を含めた建物全体で行うことになります。

そのため、次のような対応が必要になる可能性があります。

  • 既存建物の構造図・構造計算書の確認
  • 既存躯体の耐力確認
  • 増築後の建物全体での構造計算
  • 現行法への適合確認

特に、古い建物では既存図書が不足していることも多く、既存部分の構造性能を確認するだけでも大きな手間がかかります。

そのため、構造上の一体増築は、検討項目が多く、難易度が高い計画になりやすいです。

エキスパンションジョイントで構造上分離する増築

一方で、意匠上は既存建物とつながって見えるものの、構造上はエキスパンションジョイント等により既存部分と増築部分を分離する方法もあります。

この場合、増築部分と既存部分は構造的に別棟として扱われるため、構造上は増築部分のみで安全性を確認できる場合があります。

また、既存建物が既存不適格建築物である場合でも、一定の条件を満たせば、既存部分について現行法へ全面的に適合させる必要がない場合があります。

そのため、実務上は、既存建物への影響を抑える方法として、エキスパンションジョイントにより構造上分離した増築が採用されることが一般的です。

別棟増築

別棟増築とは、既存建物がある敷地内に、既存建物とは別の建物を新たに増設することをいいます。

一般的に「増築」というと、既存建物に建物を接続して一体的に建て増しするイメージがありますが、建築基準法上は、同一敷地内に別の建物を新たに建てる場合も、既存建物に対する増築として扱われます

「新築」ではなく「増築」として扱われる理由

既存建物がない敷地に建物を建てる場合は、通常「新築」となります。

一方で、すでに建物が存在する敷地内に、別棟で建物を追加する場合は、敷地全体で見ると建築物が増えることになります。

そのため、既存建物とは接続していなくても、建築基準法上は既存建物に対する増築として扱われます。

ここで重要なのは、建築基準法では、建物単体だけでなく、敷地単位で建築物の適法性を確認するという点です。

別棟であっても、同じ敷地内に建てる以上、増築後の敷地全体について、建蔽率、容積率、用途地域、接道、採光、延焼のおそれのある部分などを確認する必要があります。

用途上可分不可分について

また、建築基準法では、原則として一つの敷地には一つの建築物を建築するという、いわゆる「一敷地一建物」の考え方があります。

そのため、既存建物がある敷地内に別棟を増築する場合は、増築する建物が既存建物と用途上不可分の関係にあることが必要です。

例えば、既存住宅に対する物置や車庫、既存共同住宅に対する駐輪場やゴミ置場、既存工場に対する倉庫などは、主たる建物の利用を補完するものとして、用途上不可分と整理しやすいです。

一方で、既存建物とは独立して利用できる建物、例えば別世帯が使用する住宅や、第三者に賃貸する倉庫、既存建物と関係のない店舗などは、用途上可分と判断される可能性があります。

用途上可分と判断される場合は、同一敷地内に別棟として建築することはできず、敷地を分割したうえで、それぞれの敷地が接道義務や建蔽率・容積率などの規定に適合するように計画する必要があります。


まとめ

・増築とは、既存建物に新たな建物部分を追加することをいう。
・床面積が増える場合だけでなく、屋外階段、塀、オーニングなど、床面積が増えないものでも増築に該当する場合がある。
・確認申請が不要となるのは、原則として、防火地域・準防火地域外で、かつ増築・改築・移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内の場合である。
・ピロティや開放廊下など、当初は床面積に算入されていなかった部分を、後から屋内的用途に使用する場合は、床面積が増加し、増築として扱われる可能性がある。
・増築には、既存建物に接続する一体増築と、同一敷地内に別の建物を建てる別棟増築がある。
・構造上も一体となる増築では、既存部分を含めた建物全体で構造安全性を確認する必要があり、難易度が高くなりやすい。
・エキスパンションジョイント等で構造上分離する増築では、一定の条件を満たせば、既存部分について現行法へ全面的に適合させずに計画できる場合がある。
・別棟増築では、新たに建てる建物だけでなく、既存建物を含めた敷地全体で、建蔽率、容積率、用途地域、接道、採光、延焼のおそれのある部分などを確認する必要がある。
・建築基準法では、原則として「一敷地一建物」の考え方があるため、別棟増築を行う場合は、既存建物と増築建物が用途上不可分である必要がある。

増築の判断は、計画内容や特定行政庁・指定確認検査機関の運用によって異なる場合があるため、計画初期の段階で事前協議を行うことが重要です。

  • この記事を書いた人

TAK

新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法をはじめ、建築物に関するお役立ち情報を発信します。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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