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EIR・BEPとは【BIM】

BIMを業務で活用する場合、最初に決めておくべき重要な資料がEIRとBEPです。

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「何のためにBIMを使うのか」「どこまで詳しく作るのか」「誰がどの情報を入力するのか」「どのデータを成果品として提出するのか」を事前に決めておかないと、発注者と設計者・施工者の間で認識のズレが生じやすくなります。

そのため、BIMを活用するプロジェクトでは、発注者側の要望を整理するEIRと、受注者側の具体的な実行計画を整理するBEPが重要になります。


EIRとは

EIRとは、Employer’s Information Requirementsの略で、日本語では発注者情報要件といいます。

簡単にいうと、EIRは、発注者が設計者や施工者に対して示す、「BIMをこのように使ってほしい」という要望書です。

例えば、発注者がBIMを使って、建物の3D確認をしたいのか、数量算出に使いたいのか、維持管理に使いたいのかによって、BIMモデルに必要な情報は変わります。

そのため、EIRでは、発注者がBIMに求める内容をあらかじめ整理します。

EIRに記載する内容の例は、以下のとおりです。

項目内容
BIMを使う目的3D確認、干渉チェック、数量算出、維持管理への活用など
BIMで作成する範囲意匠のみ、構造のみ、設備も含めるかなど
モデルの詳しさどの程度まで細かく部材や設備を入力するか
必要な情報面積、材料、仕様、型番、設備情報など
成果品PDF図面、IFCデータ、BIMモデル、数量表など
データ形式IFC、PDF、ネイティブデータなど
共有方法CDEなどのデータ共有環境
維持管理への活用竣工後にどの情報を使いたいか

例えば、発注者が「竣工後の維持管理にもBIMを使いたい」と考えている場合、空調機やポンプなどの設備について、メーカー名、型番、設置位置、更新時期などの情報をBIMモデルに入れておく必要があります。

一方で、発注者が「設計段階の3D確認だけできればよい」と考えている場合は、維持管理用の細かい設備情報までは不要な場合があります。

つまり、EIRは、BIMで何をしたいのかを発注者側が最初に示すための資料です。


BEPとは

BEPとは、BIM Execution Planの略で、日本語ではBIM実行計画書といいます。

簡単にいうと、BEPは、発注者から示されたEIRに対して、設計者や施工者が作成する、「BIMをどのように使って業務を進めるかをまとめた計画書」です。

BEPに記載する内容の例は、以下のとおりです。

項目内容
使用するBIMソフトRevit、Archicad、GLOOBEなど
作業体制BIMマネージャー、BIM担当者、各分野の担当者
作成するモデル意匠モデル、構造モデル、設備モデルなど
モデルの作成範囲どの階、どの部位、どの設備まで作るか
モデルの詳細度どの程度の精度・細かさで入力するか
データ共有方法CDE、クラウド、共有フォルダなど
チェック方法干渉チェック、図面整合チェック、定例確認など
成果品の提出方法PDF、IFC、BIMデータ、数量表など
更新・修正ルール誰が、いつ、どのタイミングでモデルを更新するか

例えば、EIRで「設備配管と梁の干渉をBIMで確認したい」と示された場合、BEPでは、どのソフトを使い、どの範囲の設備モデルを作成し、いつ干渉チェックを行い、誰が結果を確認するのかを具体的に決めます。

つまり、BEPは、発注者の要望に対して、受注者側が「この方法で対応します」と示す実行計画です。


EIRとBEPの関係

EIRとBEPは、セットで考えると分かりやすいです。

発注者が「BIMで何をしたいか」を示すのがEIR、それに対して設計者・施工者が「どのように実行するか」を示すのがBEPです。

区分EIR(発注者情報要件)BEP(BIM実行計画書)
作成者発注者側受注者側
役割BIMに求める内容を示すBIMの具体的な進め方を示す
タイミング受注者選定・契約前に提示業務着手前に提示
内容BIM活用目的、必要情報、成果品、データ形式など使用ソフト、体制、作成範囲、詳細度、共有方法など

例えば、EIRとBEPの関係は、次のように整理できます。

流れ内容
発注者がEIRを作成「BIMを維持管理に使いたい」「干渉チェックに使いたい」などの要望を整理
受注者がBEPを作成「このソフトで、この範囲を、この体制で作成します」と実行方法を整理
双方で合意BIMの使い方、成果品、責任範囲、データ共有方法を確認
業務開始合意したBEPに基づいてBIMを運用


なぜEIRとBEPが必要なのか

EIRとBEPが必要な理由は、BIMの使い方を事前に決めておかないと、関係者間で認識のズレが起こりやすいからです。

例えば、発注者は「BIMがあれば維持管理にもそのまま使える」と考えていても、設計者側は「確認申請図面を作るためのBIMモデル」として作成している場合があります。

この場合、竣工後にBIMモデルを見ても、設備の型番や点検情報、更新時期などが入力されておらず、維持管理には使いにくいという問題が起こります。

また、発注者が「数量算出にも使いたい」と考えている場合でも、モデルの作成ルールや入力精度が決まっていなければ、正確な数量を出すことはできません。

そのため、BIMを活用する前に、EIRとBEPを通じて、以下の点を明確にしておくことが重要です。

事前に決めること内容
BIMを使う目的3D確認、確認申請、干渉チェック、数量算出、維持管理など
作成する範囲意匠、構造、設備、外構、既存建物など
入力する情報面積、材料、仕様、型番、設備情報、点検情報など
成果品PDF図面、IFCデータ、BIMモデル、数量表など
責任範囲誰がどの情報を作成・確認・更新するか
更新方法設計変更や補正時に、誰がどのタイミングで修正するか
共有方法CDEやクラウドでどのようにデータを共有するか


まとめ

現在のBIM活用は、設計や施工の一部で使われる段階から、確認申請、積算、維持管理までを含めた建築ライフサイクル全体で活用する段階へ移行しつつあります。特に、2026年4月から開始されたBIM図面審査は、2029年春を目標とするBIMデータ審査に向けた重要なステップと位置付けられます。

また、BIM活用は官庁営繕分野でも進められています。国土交通省は、建築分野全体のBIM活用を推進するため、官民が連携して検討を行う建築BIM推進会議を設置し、標準ワークフローガイドライン、BIM図面審査、データ連携環境の整備などに関する資料を公表しています。あわせて、官庁営繕事業においてもBIM活用に関するガイドラインや実施要領を公表し、設計・施工・維持管理を見据えた活用を推進しています。

建築:建築BIM推進会議 - 国土交通省
官庁営繕:官庁営繕事業におけるBIM活用 - 国土交通省

BIMの現在地は、一部の先進的な事業者だけが使う特別な技術から、確認申請や維持管理を含む建築実務全体で活用する共通基盤へ移行している段階といえます。

ただし、普及にはまだ課題もあります。BIM人材の不足、ソフトや教育のコスト、発注者側の理解不足、関係者間のデータ連携、EIR・BEPの運用ノウハウ不足などが挙げられます。今後BIMを実務に定着させるためには、発注者・設計者・施工者・維持管理者が早い段階から目的を共有し、EIR・BEP・CDEを活用して、必要な情報を適切に受け渡していくことが重要です。

  • この記事を書いた人

TAK

新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法をはじめ、建築物に関するお役立ち情報を発信します。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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