・建築基準法上の階段の種類は何がある?
・かかる規制は?
・建築基準法以外の規制はある?
確認検査機関の元社員である一級建築士が解説します。
階段の種類
建築基準法上、階段の種類は以下に分類されます。
・直通階段
・屋外階段
・避難階段
・特別避難階段
一つずつ解説していきます。
直通階段
「直通階段」とは、建物の各階から避難階又は地上に直接通じる階段のことです。
施行令第120条に規定されています。
居室の種類に応じ、居室から各階の階段までの歩行距離が定められています。
また、避難階以外の階が規定の条件に該当すると、2以上の直通階段を設置する必要があります。施行令第121条に規定されています。
業界では二直(にちょく)と呼んだりします。
また、直通階段で屋外に設けるもの(屋外階段)は、原則木造としてはいけません。施行令第121条の2に規定されています。
避難階段
避難階段とは、直通階段よりも高い避難安全性が求められる階段です。
建築物の用途や階数などに応じて、設置が必要になります。
避難階段の構造については、施行令第123条で細かく定められています。
さらに、物販店舗の用途に供する建築物では、避難階段の幅などについて追加の規定があり、これらは施行令第124条に定められています。
特別避難階段
特別避難階段とは、上記の避難階段よりもさらに高い避難安全性が求められる階段です。建築物の用途や階数に応じて、設置が必要になります。
特別避難階段の構造については、施行令第123条で細かく定められています。
※これらの階段の規定は、以下の建築物に限り適用を受けます。(施行令第117条)
・法別表第1(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する建築物
・階数が3以上である建築物
・1/20以上の採光に有効な開口面積を有しない居室を有する階
・延べ面積が1000㎡超の建築物
階段各部の寸法の規定
上記のほか、階段の寸法等についても施行令23条~27条で規定されています。
以下の表のように記載されています。
※ただし、屋外階段の幅は、上記の直通階段の場合は90㎝以上、その他のものは60㎝以上、住宅の階段(共同住宅の共用の階段を除く)の蹴上げは23㎝以下、踏面は15㎝以上とすることができます。
| 階段の種別 | 階段及びその踊場の幅 | 蹴上の寸法 | 踏面の寸法 | |
| (一) | 小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)における児童用のもの | 140㎝以上 | 16㎝以下 | 26㎝以上 |
| (二) | 中学校(義務教育学校の後期課程を含む。)、高等学校若しくは中等教育学校における生徒用のもの又は物品販売業(物品加工修理業を含む。第130条の5の3を除き、以下同じ。)を営む店舗で床面積の合計が1500㎡を超えるもの、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂若しくは集会場における客用のもの | 140㎝以上 | 18㎝以下 | 26㎝以上 |
| (三) | 直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階又は居室の床面積の合計が100㎡を超える地階若しくは地下工作物内におけるもの | 120㎝以上 | 20㎝以下 | 24㎝以上 |
| (四) | (一)から(三)までに掲げる階段以外のもの | 75㎝以上 | 22㎝以下 | 21㎝以上 |
各部の場所は、以下の絵を参照してください。蹴込みは踏面寸法には含まれません。

回り階段の部分の踏面は、狭い方の端から30㎝の位置で測ります。

手すりや昇降を安全に行うための設備で高さ50㎝以下のものが設けられた場合の階段や踊場の幅は、手すり等の幅10㎝までは、ないものとして算定することができます。

・踊場の位置及び踏幅
上記の表の(一)又は(二)に該当する階段で高さ3m超のものは、高さ3m以内ごとに、その他の階段で高さ4m超のものは、高さ4m以内ごとに踊場を設ける必要があります。
この踊場の踏幅は1.2m以上とする必要があります。

・手すり等
①階段には手すりを設けなければいけません。
②階段及び踊場の両側(手すりが設けられた側を除く)には、側壁等を設けなければいけません。
③階段の幅が3m超の場合、中間に手すりを設けなければいけません。
ただし、けあげが15㎝以下かつ踏面30㎝以上のものは免除されます。
④上記①~③の規定は、高さ1m以下の階段の部分には適用されません。
※これらの規定は、昇降機機械室用階段、物見塔用階段その他特殊の用途に専用する階段には適用されません。
建築基準法以外の規制
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)では、一定の規模・用途の建築物について、移動等円滑化基準への適合が求められます。
また、義務基準ではありませんが、これよりも内容が強化された移動等円滑化誘導基準も定められています。
この誘導基準は、計画の認定(法第17条)を受けて容積率の特例を受けようとする場合などに適合が必要となります。
移動等円滑化基準
移動等円滑化基準では、階段について主に次のような基準が定められています。
① 踊場を除き、手すりを設けること
② 表面を粗面とするか、または滑りにくい材料で仕上げること
③ 踏面の端部とその周囲の部分との明度・色相・彩度の差を大きくし、段を容易に識別できるようにすること
④ 段鼻の突き出しなど、つまずきの原因となるものを設けない構造とすること
⑤ 段がある部分の上端に近接する踊場には、視覚障害者への警告用として点字ブロック等を敷設すること
⑥ 主たる階段は回り階段としないこと
ただし、回り階段以外の階段を設ける空間を確保することが困難な場合は、この限りではありません。
移動等円滑化誘導基準
これに対し、移動等円滑化誘導基準では、より高い水準の配慮が求められます。階段に関する主な基準は次のとおりです。
① 幅を140cm以上とすること
なお、手すりがある場合は、そのうち10cmまではないものとして算定できます。
② 蹴上げを16cm以下とすること
③ 踏面を30cm以上とすること
④ 踊場を除き、両側に手すりを設けること
⑤ 表面を粗面とするか、または滑りにくい材料で仕上げること
⑥ 踏面の端部とその周囲の部分との明度・色相・彩度の差を大きくし、段を容易に識別できるようにすること
⑦ 段鼻の突き出しなど、つまずきの原因となるものを設けない構造とすること
⑧ 段がある部分の上端に近接する踊場には、点字ブロック等を敷設すること
⑨ 主たる階段は回り階段としないこと