BIMとは
BIMとは、Building Information Modelingの略で、建物を3Dモデルとして作成し、そのモデルに室名、面積、材料、部材仕様、性能、仕上げなどの情報を持たせて活用する仕組みです。
従来のCADは、線や文字を使って「図面を描く」ためのツールです。
一方、BIMは、壁、柱、梁、床、建具、設備などを3Dの部材として入力し、建物全体をデータとして管理します。
BIM確認申請とは
BIM確認申請とは、BIMを活用して建築確認申請を行う取り組みです。
現在は、BIMデータそのものを直接審査する段階ではなく、BIMから書き出したPDF図面を中心に審査するBIM図面審査が運用されています。
BIM図面審査とは、建築確認の電子申請時に、申請書やBIMソフトから出力した設計図書PDFに加え、建物を3Dで表示できるIFCデータを補足情報として提出し、審査の効率化を図る制度です。
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| BIM図面審査 | BIMから出力したPDF図面を中心に行う確認申請・審査 |
| IFCデータ | 建物を3Dで確認するための補足資料 |
| BIMデータ審査 | 将来的にBIMデータそのものを審査に活用する方式 |
国土交通省のガイドラインでは、2026年4月からBIM図面審査を開始し、2029年春を目標にBIMデータ審査の実現を目指す流れが示されています。
国土交通省ガイドライン:建築:建築BIM推進会議 - 国土交通省
BIM図面審査について
2026年4月から運用が開始されているBIM図面審査とは、先述の通り、BIMデータから書き出された図書を活用して行う建築確認申請・審査の方法です。
ここで重要なのは、現時点のBIM図面審査は、BIMモデルだけで確認申請が完結する制度ではないという点です。
審査は、従来と同様に、PDF図面に明示された内容をもとに行われます。
IFCデータは提出しますが、主な役割は、審査者が建物の形状を3Dで確認しやすくするための補足資料です。
国交省ガイドラインでも、審査は図書に明示された事項に基づいて行い、IFCデータのみに含まれる情報に基づいた判断は行わないとされています。
つまり、BIM図面審査は、
「BIMで作成した図面を使う確認申請」
であり、現時点では、
「BIMモデルそのものを審査する確認申請」ではありません。
BIM図面審査で提出するもの
BIM図面審査では、主に以下の資料を提出します。
| 提出物 | 内容 |
|---|---|
| 確認申請書様式 | 通常の確認申請書類 |
| BIM由来のPDF図書 | BIMソフトから書き出した確認申請図面 |
| IFCデータ | 建物形状を3Dで確認するためのデータ |
| 入出力基準適合誓約書 | BIMデータ、PDF図書、IFCデータを基準に従って作成したことを設計者が誓約する書類 |
| 各種計算書等 | 構造計算書、省エネ計算書など通常必要となる資料 |
ガイドラインでは、BIM由来のPDF図書とIFCデータは、原則として同一のBIMデータから同時に書き出すものとされています。
また、BIM図面審査においては、PDF図書とIFCデータを入出力基準に従って作成したことや、図書の記載事項が相互に整合していることについて、設計者が誓約する仕組みになっています。
IFCデータとは
IFCデータとは、異なるBIMソフト間でもデータをやり取りしやすくするための標準的なBIMデータ形式です。
例えば、Revit、Archicad、GLOOBEなど、使用しているBIMソフトが異なっていても、IFC形式に変換することで、3D形状や一部の属性情報を共有しやすくなります。
国土交通省のガイドラインでも、IFCはbuildingSMART Internationalが策定する、BIMに関する標準化されたオープンな国際規格のファイルフォーマットとされています。
| データ | 主な拡張子 | 内容 |
|---|---|---|
| PDF図書 | 確認申請で審査対象となる図面データ | |
| IFCデータ | .ifc | 3D形状確認用の標準的なBIMデータ |
| Revitデータ | .rvt | Autodesk Revitの作業データ |
| Archicadデータ | .pln | Archicadの作業データ |
| Vectorworksデータ | .vwx | Vectorworksの作業データ |
なお、BIM図面審査では、RevitやArchicadなどのネイティブデータを、IFCデータの代わりとして提出することは認められていません。
CDEとは
BIM図面審査においては、CDEという仕組みがあります。
CDEとは、Common Data Environmentの略で、申請者、設計者、審査者などが、図面やBIMデータ、指摘事項、補正資料を共有するための共通データ環境です。
簡単にいうと、CDEは確認申請用のクラウド上の共有スペースのようなものです。
国土交通省のガイドラインでは、BIM図面審査の審査環境は、ICBA電子申請受付システム及びICBA確認申請用CDEを標準とするとされています。
ICBAによると、BIM図面審査を実現するための確認申請用CDEは、buildingSMART Japanが開発し、ICBAが2026年4月から利用者へ提供を開始しており、システム名称は ArcSync(アークシンク)とされています。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| CDE | 図面・BIMデータ・指摘事項等を共有する共通データ環境 |
| 確認申請用CDE | BIM図面審査で使う申請・審査用のCDE |
| ArcSync | ICBAが提供する確認申請用CDEのシステム名称 |
ArcSync⇒BIM審査ポータルサイト - ICBA
BIM図面審査の流れ
BIM図面審査の大まかな流れは、以下のとおりです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 申請図書の作成 | BIMソフトでBIMデータを作成し、PDF図書とIFCデータを書き出す |
| 誓約書の作成 | 入出力基準に従って作成したことを設計者が誓約する |
| 申請 | 電子申請受付システムや確認申請用CDEを通じて提出する |
| 審査 | 審査者がPDF図書を中心に審査し、必要に応じてIFCデータを確認する |
| 指摘・補正 | 指摘があればBIMデータを修正し、PDF図書とIFCデータを再提出する |
| 消防同意・確認済証交付 | 通常の確認申請と同様に、消防同意等を経て確認済証が交付される |
| 中間検査・完了検査 | 交付済みのPDF図書をもとに検査を行う |
ガイドラインでは、審査者はPDF形式の図書を用いて審査し、IFCデータはBIMビューアで閲覧して、形状の把握・理解に利用するとされています。
また、補正時は原則としてBIMデータを修正し、PDF図書とIFCデータを再度書き出して提出する必要があります。
BIM図面審査のメリット
BIM図面審査のメリットは、主に次のとおりです。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 図面間の整合性を高めやすい | 同じBIMモデルから図面を作成するため、不整合を減らしやすい |
| 建物形状を理解しやすい | IFCデータにより、3Dで形状を確認できる |
| 審査の効率化が期待できる | 一部の整合性確認を省略できる場合がある |
| 指摘・補正のやり取りを整理しやすい | CDE上で申請・指摘・補正の情報を共有できる |
ガイドラインでも、BIM図面審査の効果として、BIMモデルから図面を作成することによる整合性向上、確認申請用CDEの活用によるコミュニケーションの円滑化、3Dモデル閲覧による形状理解の向上などが挙げられています。
個人的には、審査において図書間の整合性を確認する手間が省け、審査期間の短縮ができることが一番のメリットになると思います。
BIM申請ができる確認検査機関
BIM図面審査は、現時点ですべての確認検査機関で対応しているわけではありません。
申請する場合は、BIM図面審査に対応している特定行政庁又は指定確認検査機関を選ぶ必要があります。
以下のICBAのBIM審査ポータルサイトでは、BIM図面審査に対応している特定行政庁・指定確認検査機関の情報が掲載されています。
BIM図面審査で注意すべき点
BIM図面審査を利用する場合、特に注意すべき点は以下です。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| PDF図面が審査対象 | IFCだけに情報があっても、PDFに明示されていなければ判断対象にならない |
| IFCは補助資料 | 建物形状の理解には使うが、法適合判断の主対象ではない |
| 補正時はBIM修正が原則 | PDFだけを手修正すると、BIMモデルとの整合が崩れる可能性がある |
| ネイティブデータは代替不可 | IFCデータの代わりにRevit等の元データを提出することはできない |
| 検査はPDF正本ベース | 中間検査・完了検査はIFCデータとの照合では行わない |
| 事前相談が重要 | 初回案件では審査機関との事前確認が必要 |
特に重要なのは、BIMを使っても、建築基準法への適合判断が自動化されるわけではないという点です。
用途判断、防火区画、避難規定、採光・換気・排煙、構造、省エネ、条例、行政協議事項などは、従来どおり設計者や審査者が確認する必要があります。
BIMデータ審査に向けた今後の流れ
現在のBIM図面審査は、2029年春に予定されているBIMデータ審査に向けた段階的な取り組みといえます。
BIMデータ審査では、将来的にBIMデータそのものをより本格的に審査へ活用することが想定されています。
そのため、今後は、BIMデータの作成ルール、属性情報の標準化、CDEの利用、審査機関側の運用体制などがさらに重要になります。
国土交通省の標準ワークフローガイドラインでも、BIMを有効に活用するためには、発注者と設計者・施工者などの関係者の間で、「BIMを何のために使うのか」「どの範囲までBIMで作成するのか」「誰がどの情報を入力・管理するのか」を事前に共有しておくことが重要とされています。
例えば、発注者側がBIMに求める内容を整理したものをEIR、それに対して設計者や施工者側が「どのようにBIMを使って業務を進めるか」をまとめたものをBEPといいます。
EIR・BEPについての記事はこちら
まとめ
BIM確認申請とは、BIMを活用して建築確認申請を行う取り組みです。
2026年4月から始まったBIM図面審査では、BIMから出力したPDF図面を中心に審査し、IFCデータを建物形状の確認補助として利用します。
BIM図面審査のメリットは、図面間の整合性を高めやすいこと、3Dモデルにより建物形状を理解しやすいこと、CDEを使って申請・指摘・補正のやり取りを整理しやすいことです。
一方で、現時点ではBIMモデルだけで確認申請が完結するわけではなく、法適合判断は従来どおりPDF図書に明示された内容をもとに行われます。
また、BIM図面審査を利用するには、対応する確認検査機関、BIMソフト、PDF・IFC出力、入出力基準適合誓約書、CDE利用などの準備が必要です。
BIM図面審査は、2029年春に予定されるBIMデータ審査に向けた重要なステップであり、今後の確認申請実務では、BIMへの対応がより重要になっていくと考えられます。
