建築 建築基準法(意匠)

特別避難階段とは

特別避難階段とは

特別避難階段とは、避難階段よりもさらに高い避難安全性を確保するために、屋内と階段室の間に「付室」又は「バルコニー」を設けた階段です。

避難階段については、以下の記事をご確認ください。

通常の避難階段は、階段室を耐火構造の壁や防火設備で区画することで、火災時の避難経路を守る構造です。
これに対して、特別避難階段では、屋内から階段室へ直接入ることができません。

屋内から階段室へ行くためには、必ず次のいずれかを経由します。

  • 付室
  • バルコニー

つまり、特別避難階段は、屋内と階段室の間にワンクッションを設けることで、火災時の煙が階段室へ直接流入しにくい構造としたものです。

火災時の避難では、火炎そのものだけでなく、煙による視界不良や一酸化炭素中毒が大きな危険となります。
特に高層階や地下階では、避難に時間がかかるため、階段室に煙が入ってしまうと避難経路として機能しなくなるおそれがあります。

特別避難階段の主な特徴は、次のとおりです。

項目内容
屋内との接続屋内と階段室は、付室又はバルコニーを通じて連絡する
煙対策付室又はバルコニーにより、階段室への煙の流入を防ぐ
区画階段室・付室・バルコニーを耐火構造の壁で囲む
出入口屋内から付室等への出入口には特定防火設備、付室等から階段室への出入口には防火設備を設ける
階段本体耐火構造とし、避難階まで直通させる

特別避難階段の設置が必要な建物

建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる直通階段については、原則として特別避難階段とすることが求められています。

物品販売店舗の場合

物品販売業を営む店舗については、別に規定があります。

第122条第2項では、3階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物について、各階の売場及び屋上広場に通ずる2以上の直通階段を設け、それらを避難階段又は特別避難階段とすることが求められています。

さらに、第3項では、次のように定められています。

対象必要な階段
5階以上の売場に通ずる直通階段その1以上を特別避難階段
15階以上の売場に通ずる直通階段すべて特別避難階段

物品販売店舗は、不特定多数の人が利用する用途であり、火災時の避難に混乱が生じやすいため、より厳しい避難規定が設けられています。

特別避難階段の構造

特別避難階段では、主に次のような構造が求められます。

項目内容
屋内との連絡屋内と階段室は、バルコニー又は付室を通じて連絡する
防煙性能付室を通じて煙が階段室へ流入することを有効に防止できる構造とする 
※付室の構造方法:平成28年国交省告示第696号
区画階段室、バルコニー、付室を耐火構造の壁で囲む
内装階段室・付室の天井、壁の室内側は不燃材料等とする
採光・照明階段室には、付室に面する採光上有効な開口部又は予備電源付き照明設備を設ける
屋外側開口部他の開口部等から90cm以上離し、延焼のおそれのある部分以外に設ける(開口面積1㎡以内の防火設備FIX窓はOK)
階段室の開口制限バルコニー・付室に面する部分以外には、屋内に面する開口部を設けない
付室・バルコニーの開口制限階段室以外の屋内に面する壁には、出入口以外の開口部を設けない
出入口屋内から付室等へは特定防火設備、付室等から階段室へは防火設備を設ける(共に遮煙性能付き)
階段本体耐火構造とし、避難階まで直通させる
階段室と付室の床面積の合計15階以上または地下3階以下の各階において
法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室:居室面積×3/100以上
その他の用途:居室面積×8/100以上

特別避難階段では、単に階段室を耐火構造の壁で囲むだけでは足りません。

階段室の手前に付室やバルコニーを設け、さらに出入口や開口部の制限を行うことで、階段室に煙が入りにくい構造とする必要があります。

法文を確認(建築基準法施行令第122条、123条第3項)

建築基準法施行令第122条(避難階段の設置)
建築物の5階以上の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で五階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)又は地下2階以下の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で地下2階以下の階の床面積の合計が100㎡以下である場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる直通階段は同条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。ただし、特定主要構造部が耐火構造である建築物(階段室の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)及び廊下その他の避難の用に供する部分で耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で区画されたものを除く。)で床面積の合計100㎡(共同住宅の住戸にあつては、200㎡)以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる法第2条第九号の二ロに規定する防火設備を含む。)で区画されている場合においては、この限りでない。
2 3階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、各階の売場及び屋上広場に通ずる2以上の直通階段を設け、これを次条の規定による避難階段又は特別避難階段としなければならない。
3 前項の直通階段で、5階以上の売場に通ずるものはその1以上を、15階以上の売場に通ずるものはその全てを次条第3項の規定による特別避難階段としなければならない。

建築基準法施行令第123条第3項(避難階段及び特別避難階段の構造)
特別避難階段は、次に定める構造としなければならない。
一 屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡すること。
二 屋内と階段室とが付室を通じて連絡する場合においては、階段室又は付室の構造が、通常の火災時に生ずる煙が付室を通じて階段室に流入することを有効に防止できるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。  
 ※大臣が定め:平成28年国土交通省告示第696号
三 階段室、バルコニー及び付室は、第六号の開口部、第八号の窓又は第十号の出入口の部分(第129条の13の3第3項に規定する非常用エレベーターの乗降ロビーの用に供するバルコニー又は付室にあつては、当該エレベーターの昇降路の出入口の部分を含む。)を除き、耐火構造の壁で囲むこと。
四 階段室及び付室の天井及び壁の室内に面する部分は、国土交通大臣が定める基準に従い、仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ることその他これに準ずる措置を講ずること。  
五 階段室には、付室に面する窓その他の採光上有効な開口部又は予備電源を有する照明設備を設けること。
六 階段室、バルコニー又は付室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々1㎡以内で、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。)は、階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分に設けた開口部並びに階段室、バルコニー又は付室以外の当該建築物の部分の壁及び屋根(耐火構造の壁及び屋根を除く。)から90cm以上の距離にある部分で、延焼のおそれのある部分以外の部分に設けること。ただし、第112条第16項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
七 階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けないこと。
八 階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
九 バルコニー及び付室には、階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けないこと。
十 屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口には第一項第六号の特定防火設備を、バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口には同号の防火設備を設けること。
十一 階段は、耐火構造とし、避難階まで直通すること。
十二 建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階に通ずる特別避難階段の15階以上の各階又は地下3階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては8/100、その他の居室にあつては3/100を乗じたものの合計以上とすること。

取扱い等

付室の大きさ

施行令123条第3項第十二号において、特別避難階段の階段室及び付室・バルコニーの床面積の合計床面積が規定されているものの、バルコニー・付室の床面積については定められていません。

防火避難規定の解説では、最低でも5㎡の大きさを確保することが望ましいとされています。

詳細な取扱いは「建築物の防火避難規定の解説」に解説されているので、必ず確認するようにしましょう。

  • この記事を書いた人

TAK

新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法をはじめ、建築物に関するお役立ち情報を発信します。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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