建築 建築基準法(意匠) 法改正情報

無窓居室に該当する居室に関する法改正【令和7年11月1日施行】

令和7年11月1日に施行された無窓居室に関する法改正情報について解説します。

令第116条の2第1項及び第128条の3の2に規定する窓その他の開口部を有しない居室について、新たに告示が設けられ、緩和が追加されました。

いわゆる排煙無窓の判定に関する規定の改正です。

令116条の2第1項第二号が以下のように改正されています。新旧で比較して確認します。

旧 令第116条の2第1項第二号
開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1以上のもの

新 令第116条の2第1項第二号
開放できる部分(天井又は壁(床面から天井までの垂直距離に応じて国土交通大臣が定める部分に限る。)にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1(火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いる給気口及び排気口を有する場合にあつては、給気口の開口面積、排気口の高さ及び居室の床面積に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した割合)以上のもの

赤字の部分が新たに追加された文言です。

この変更に伴い、新たに告示992号と993号が新設されました。

国土交通省告示第992号
建築基準法施行令第116条の2第1項第二号及び128条の3の2第一号の規定に基づき、床面から天井までの垂直距離に応じた壁の部分を次のように定める。

建築基準法施行令第116条の2第1項第二号及び第128条の3の2第一号に規定する床面から天井までの垂直距離に応じた壁の部分は、次の各号に掲げる床面から天井(天井のない場合においては、屋根。第一号において同じ。)までの垂直距離に応じ、当該各号に定める部分とする。
一 2.6m以下の場合 天井から下方80㎝以内の距離にある部分
二 2.6mを超える場合 床面からの高さが1.8m以上の部分

告示992号では、排煙無窓の算定における有効開口部の高さが以下の絵のように緩和されました。
天井高さ2.6m超の場合は、床面から1.8m以上の部分の開口部を排煙無窓の検討に含めることができるようになりました。


また、告示993号では、一定の条件を満たせば、排煙無窓の検討において床面積の1/50以下の開口面積とすることが可能となっています。

給気口と排気口において条件があり、条件を満たす場合、告示内の計算式によって計算した値により、排煙無窓の判定を行います。

給気口と排気口の詳細は告示で確認いただきたいですが、簡単に整理すると以下のようになります。

給気口
・常時開放された、又は排気口と連動して自動で開放される構造。
・機械換気設備でない
・給気口の位置は、天井高2.6m以下の場合、「天井から下方80㎝以上の距離にある部分」とし、天井高2.6m超の場合、「床面からの高さが1.8m以下の部分」とする

排気口
・直接外気に接し、かつ開放できる
・機械換気設備でない
・手動開放装置を設ける
・手動開放装置を壁に設ける場合、床面から80㎝~150㎝の高さに、天井から吊り下げる場合は床面からおおむね1.8mの高さに設け、かつ見やすい方法で使用方法を表示

もちろん、この告示は緩和規定なので、適用しなくても問題ありません。

以下が告示文です。

国土交通省告示第993号
建築基準法施行令第116条の2第1項第二号及び第128条の3の2第一号の規定に基づき、火災時に生ずる煙を有効に排出することができる給気口及び排気口の構造方法を次のように定める。

第1 建築基準法施行令第116条の2第1項第二号及び第128条の3の2第一号に規定する火災時に生ずる煙を有効に排出することができる給気口の構造方法は、次に掲げる基準に適合するものとする。
一 常時開放された、又は排気口の開放に連動して自動的に開放される構造とすること。
二 機械換気設備を構成するものでないこと。

2 令第116条の2第1項第二号及び第128条の3の2第一号に規定する火災時に生ずる煙を有効に排出することができる排気口の構造方法は、次に掲げる基準に適合するものとする。
一 直接外気に接し、かつ、開放できるものとすること。
二 機械換気設備を構成するものでないこと。
三 手動開放装置を設けること。
四 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から80㎝以上1.5m以下の高さの位置に、天井から吊り下げて設ける場合においては床面からおおむね1.8mの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法で使用方法を表示すること。

第2 令第116条の2第1項第二号及び第128条の3の2第一号に規定する居室の床面積に対する開放できる部分の面積の割合は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法により算出した割合とする。
一 面積算定値が0を超える場合 次の式により計算すること。

二 面積算定値が0以下の場合 次の式により計算すること。

2 前項の「面積算定値」は、次の式によって計算した数値をいう。

3 前2項の「給気口の有効開口部」は、第1第1項に規定する構造方法に適合する給気口のうち、次の各号に掲げる床面から天井(天井のない場合においては、屋根。以下同じ。)までの垂直距離に応じ、当該各号に定める部分の給気口の開口部をいう。
一 2.6m以下の場合 天井から下方80㎝以上の距離にある部分
二 2.6mを超える場合 床面からの高さが1.8m以下の部分


以下の計算式が示すのは、分母のDの値が大きいほど全体としての値が小さくなり有利になるということです。

以下のDの計算式では、Hc、Aa、Aroomの値が大きいほどDが大きくなることを示しています。

そこで、以下の数値を固定して値がどう変動するか検証しました。

Aroom(居室の床面積)=50㎡、Aa(給気口の有効開口部の面積)=1.0㎡

横軸をHc(居室の床面から開放できる部分の中心までの垂直距離(m))、縦軸を0.375Aa/√Dとしてグラフを作成しました。

0<0.375Aa/√D<1の場合に緩和が適用できるので、この場合はHcが大体2.1m以上の場合に緩和適用が可能という結果になりました。

次に、Aa(給気口の有効開口部の面積)=0.1㎡とした場合も検証しました。

この場合は、Hc=4mまでの範囲では、緩和が適用できないという結果になりました。

また、Aa(給気口の有効開口部の面積)=0.3㎡とした場合は次のようになりました。

Hc=3.5mくらいから緩和適用ができるという結果でした。

3.5mとなると、かなり高い天井高が必要なので、緩和を適用するためには、現実的にはAa=1.0㎡(床面積の1/50)くらいは必要という結論になりました。

  • この記事を書いた人

TAK

30代前半。新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法等に関する情報を発信。 強く、そして美しくなることを目標に、トレーニングや美容・健康管理に励む。体脂肪率は常に一桁を維持。 日焼けを避けるため、夜のランニングを好むナイトラン派。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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