建築 建築基準法(意匠)

用途変更とは

2026-06-17

・確認申請が必要な場合は?
・かかる規定は?
・類似の用途とは?
・複数のテナントの用途変更をする場合の考え方は?

一級建築基準適合判定資格者/一級建築士が解説します。


用途変更とは

用途変更とは、建築物の用途を変更する行為です。
例えば、倉庫をリノベーションしてカフェにする行為や、共同住宅の一室を店舗として使用する行為などが用途変更に該当します。
なお、もともと飲食店だったテナントを、別の飲食店に変更する場合は、用途変更には該当しません。

一定の場合に、確認申請が必要になります。その取扱いについては、建築基準法第87条において規定されています。

建築基準法第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)
建築物の用途を変更して第6条第1項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令(※政令:施行令137条の18)で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、同条(第3項、第5項及び第6項を除く。)、第6条の2(第3項を除く。)、第6条の4(第1項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第7条第1項並びに第18条第1項から第4項まで及び第15項から第20項までの規定を準用する。この場合において、第7条第1項中「建築主事等の検査(建築副主事の検査にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。第7条の3第1項において同じ。)を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事等(当該用途の変更が大規模建築物に係るものである場合にあつては、建築主事)に届け出なければならない」と読み替えるものとする。
 建築物(次項の建築物を除く。)の用途を変更する場合においては、第48条第1項から第14項まで、第51条、第60条の2第三項及び第68条の3第7項の規定並びに第39条第2項、第40条、第43条第3項、第43条の2、第49条から第50条まで、第60条の2の2第4項、第60条の3第3項、第68条の2第1項及び第5項並びに第68条の9第1項の規定に基づく条例の規定を準用する。
 第3条第2項の規定により第27条、第28条第1項若しくは第3項、第29条、第30条、第35条から第35条の3まで、第36条中第28条第1項若しくは第35条に関する部分、第48条第1項から第14項まで若しくは第51条の規定又は第39条第2項、第40条、第43条第3項、第43条の2、第49条から第50条まで、第68条の2第1項若しくは第68条の9第1項の規定に基づく条例の規定(次条第1項において「第27条等の規定」という。)の適用を受けない建築物の用途を変更する場合においては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これらの規定を準用する。
 一 増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合
 二 当該用途の変更が政令(※政令:施行令137条の19)で指定する類似の用途相互間におけるものであつて、かつ、建築物の修繕若しくは模様替をしない場合又はその修繕若しくは模様替が大規模でない場合 
 三 第48条第1項から第14項までの規定に関しては、用途の変更が政令(※政令:施行令137条の19)で定める範囲内である場合
 第86条の7第2項(第27条又は第35条(階段等に関する技術的基準に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)及び第86条の7第3項(第28条第1項若しくは第3項、第29条、第30条、第35条(廊下等に関する技術的基準に係る部分に限る。)、第35条の2、第35条の3又は第36条(居室の採光面積に係る部分に限る。以下この項において同じ。)に係る部分に限る。)の規定は、第3条第2項の規定により第27条、第28条第1項若しくは第3項、第29条、第30条、第35条(階段等に関する技術的基準及び廊下等に関する技術的基準に係る部分に限る。)又は第35条の2から第36条までの規定の適用を受けない建築物の用途を変更する場合について準用する。この場合において、第86条の7第2項及び第3項中「増築等」とあるのは「用途の変更」と、「第3条第3項」とあるのは「第87条第3項」と読み替えるものとする。

かなり読みにくいと思いますので、要約します。

法87条第1項

用途変更をして、法第6条第1項第一号の特殊建築物とする場合に、確認申請が必要となります。
法第6条第1項第一号の特殊建築物とは、建築基準法別表第1(い)欄の用途で、かつその用途が200㎡超のものです。
以下に示します。

法別表第1(い)欄
用途政令で定めるもの
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの未制定
病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む。以下同じ。)
学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く。)
倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの未制定
自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの映画スタジオ又はテレビスタジオ

上記の用途で、かつ200㎡超の場合に用途変更の確認申請が必要となります。

法87条第2項

建築基準法第87条第2項は、建築物の用途を変更する場合でも、用途地域や建築制限に関する規定は引き続き適用されることを定めた規定です。

つまり、増築や新築をしない単なる用途変更であっても、変更後の用途がその場所で認められているかどうかを確認する必要があります。

第87条第2項では、用途変更の際に、主に次のような規定を準用するとしています。

  • 用途地域に関する規定(法第48条)
  • 卸売市場、火葬場、と畜場、ごみ焼却場などに関する規定(法第51条)
  • そのほか、
    特別用途地区、建築協定、条例による建築制限 などに関する規定

要するに、その土地でどのような用途の建築物を認めるか、または制限するかというルールが、用途変更にもそのままかかってくるということです。

法87条第3項

第87条第3項は、既存不適格建築物の用途を変更する場合に、どの規定が遡及適用されるかを定めた規定です。

ここでいう既存不適格建築物とは、建築当時は適法であったものの、その後の法改正などにより、現在の規定には適合しなくなっている建築物をいいます。

通常、このような建築物については、建築基準法第3条第2項により、一定の規定は直ちには適用されません。
しかし、第87条第3項では、用途を変更する場合には、条文に列記された規定について、これまで適用除外となっていたものも改めて適用されるとしています。

対象となるのは、例えば次のような規定です。

  • 耐火・防火に関する規定
  • 採光・換気・排煙に関する規定
  • 廊下・階段など避難に関する規定
  • 用途地域に関する規定
  • 条例による建築制限 など

つまり、既存不適格建築物であっても、用途変更を行う場合には、これらの規定への適合が新たに問題となる可能性があります。

ただし、次のような場合は例外として、この準用は行われません。

  • 増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替をする場合
  • 政令で定める類似用途間の変更で、かつ修繕・模様替がないか、大規模でない場合
  • 用途地域規制について、政令で定める範囲内の用途変更である場合。

増改築等については、別に規定されているため、ここでは除外されています。増改築等の場合は準用されないということではないので注意です。

法87条第4項

第87条第4項は、既存不適格建築物を用途変更する場合でも、一定の範囲では既存不適格緩和の規定を使えることを定めた規定です。

具体的には、第86条の7第2項・第3項の規定を、用途変更の場合にも準用するとしています。
これにより、既存不適格建築物の用途変更においても、現行規定のすべてを直ちに満たさなくてもよい場合があります。

対象となるのは、主に次のような規定です。

  • 第27条
  • 第28条第1項・第3項
  • 第29条
  • 第30条
  • 第35条(階段・廊下等の一部)
  • 第35条の2、第35条の3
  • 第36条のうち採光に関する部分 など。

法第87条概要まとめ

条項概要
第87条第1項特殊建築物への用途変更には確認申請が必要になることがある
第87条第2項用途変更でも用途地域などの規制はそのままかかる
第87条第3項既存不適格建築物でも、用途変更すると一部の規定は現行法がかかる
第87条第4項ただし、一定の場合は既存不適格緩和を使える


類似の用途について

類似の用途とは、用途変更した際に、確認申請が不要となる変更を指します。
施行令第137条の18で定める「類似の用途」相互間の変更については、確認申請が不要となります。


以下、施行令137条の18に規定される類似の用途をまとめました。

類似用途のグループ
1劇場、映画館、演芸場
2公会堂、集会場
3診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等
4ホテル、旅館
5下宿、寄宿舎
6博物館、美術館、図書館
7体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
8百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
9キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
10待合、料理店
11映画スタジオ、テレビスタジオ

例えば、劇場⇒映画館への用途変更は確認申請が不要です。

※ただし書きに注意
次の用途については、一定の用途地域内にある場合は類似用途として扱われません。

用途類似用途扱いとならない用途地域
3診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域
6博物館、美術館、図書館第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域
7体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、工業専用地域
9キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー準住居地域、近隣商業地域


用途変更に関する運用等

複数のテナント等が用途変更する場合

以下のような、複数のテナント等が入居するビルにおいて、各テナントがそれぞれの時期に用途変更をした場合は、どのように考えればよいでしょうか。

これについては、複数の考え方があります。

・1つ目は、建物全体でみて、用途変更申請が必要な用途変更の合計が200㎡を超えた時点で、用途変更申請が必要となるという考えです。
たとえば、ある時期に101号室(150㎡)の用途変更を行い、数年後に102号室(150㎡)の用途変更を行った場合、合計300㎡なので、102号室の用途変更を行った時点において用途変更申請が必要となるという考えです。

・2つ目は、同一時期での工事において、用途変更申請が必要な用途変更の合計が200㎡超の場合に用途変更申請が必要となるという考えです。
たとえば、ある時期に101号室(150㎡)の用途変更を行い、数年後に102号室(150㎡)の用途変更を行った場合、合計200㎡超ですが、同一時期の用途変更ではないため、用途変更申請は不要となるという考えです。

特定行政庁によって取り扱いが異なるので、建設地を管轄する建築指導課等に必ず確認が必要です。

上記を含めた、用途変更の運用について、国交省から技術的助言が発出されているので、以下もあわせてご確認ください。
※文中、100㎡となっている箇所は法改正により200㎡となっていますので、読み替えてください。

用途変更申請が不要な事例

用途変更申請が不要な事例を以下に記載します。

①住宅(300㎡)⇒事務所(300㎡)
事務所は特殊建築物用途に該当しないため、申請不要です。

②コンビニ(300㎡)⇒学習塾(300㎡)
学習塾も、特殊建築物用途に該当しないため、申請不要です。

③コンビニ(300㎡)⇒学習塾(150㎡)、飲食店(150㎡)
この場合、飲食店は用途変更申請が必要な用途ですが、200㎡を超えないため、申請不要です。

完了検査について

新築や増築等を行う場合は、確認申請の確認済証が交付された後、工事完了後に完了検査が行われ、検査済証が交付されます。

用途変更の場合は、完了検査は行われません。

その代わり、工事完了届を建築主事宛てに届出する必要があります。


注意点

共同住宅の容積率について

共同住宅の一室を、店舗や事務所などに用途変更する場合は注意が必要です。

共同住宅の共用廊下は、通常、容積率の緩和対象となります。
しかし、一部の住戸を店舗や事務所等に用途変更した場合には、共同住宅部分と店舗・事務所部分の専有面積に応じて、共用廊下の容積率緩和を按分して考える必要があります。
その結果、容積率の緩和を受けられる面積が減少し、容積対象面積が増加することがあります。

特に、都市部のマンションは容積率の上限いっぱいで計画されていることが多いため、一室だけの用途変更であっても、容積率オーバーとなり、法令上問題が生じるおそれがあります。

積載荷重について

用途変更において、法第20条(構造規定)は準用されませんが、用途変更した際に積載荷重が増加する場合などは、荷重増加による構造安全性の検討は行う必要があります。

建築基準法施行令第85条(積載荷重の表)

室の種類床の構造計算をする場合
(N/㎡)
大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合
(N/㎡)
地震力を計算する場合
(N/㎡)
住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室又は病室1,8001,300600
事務室2,9001,800800
教室2,3002,1001,100
百貨店又は店舗の売場2,9002,4001,300
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類する用途に供する建築物の客席又は集会室固定席の場合2,9002,6001,600
その他の場合3,5003,2002,100
自動車車庫及び自動車通路5,4003,9002,000
廊下、玄関又は階段教室、店舗の売場、劇場等の客席又は集会室に連絡するものは、「その他の場合」の数値による。
屋上広場又はバルコニー住宅の居室等の数値による。ただし、学校又は百貨店の用途に供する建築物にあっては、店舗の売場の数値による。

例えば、住宅から店舗の売場へ用途変更する場合、積載荷重の規定値は「1,800」から「2,900」へ増加します。
そのため、既存の構造設計図書を確認し、構造上あらためて検討が必要かどうかを判断する必要があります。
そして、必要と判断される場合には、構造安全性について再検討を行う必要があります。


まとめ

具体的な用途の考え方については、以下の書籍が参考になります。

以上となります。記事をお読みいただき、ありがとうございました。

  • この記事を書いた人

TAK

新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法をはじめ、建築物に関するお役立ち情報を発信します。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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