建築 建築基準法(構造)

柱の防火被覆について【建築基準法施行令第70条】

・全ての柱に被覆が必要?1階の柱だけでいい?
・大臣が定めた構造方法とは?

構造審査を担当していた指定確認検査機関の元社員が解説します。

柱の防火被覆について

建築基準法施行令第70条では、鉄骨造地階を除く階数が3以上の建築物については、原則として、柱を火災時の熱や炎から守るため、防火被覆を設ける必要があると定められています。

以下に条文を記載します。

建築基準法施行令第70条(柱の防火被覆)
地階を除く階数が3以上の建築物(法第2条第九号の二イに掲げる基準に適合する建築物及び同条第九号の三イに該当する建築物を除く。)にあつては、一の柱のみの火熱による耐力の低下によつて建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合として国土交通大臣が定める場合においては、当該柱の構造は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
大臣が定め:平成12年建設省告示第1356号

令70条中に登場する告示第1356号も以下に記載します。

平成12年建設省告示第1356号
鉄骨造の建築物について一の柱のみの火熱による耐力の低下によって建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合等を定める件


建築基準法施行令第70条の規定に基づき、鉄骨造の建築物について一の柱のみの火熱による耐力の低下によって建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合等を次のように定める。

第1 建築基準法施行令(以下「令」という。)第七十条に規定する一の柱のみの火熱による耐力の低下によって建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合は、一の柱を除いたと仮定した建築物の構造耐力上主要な部分に、当該建築物に常時作用している荷重(固定荷重と積載荷重との和(令第86条第2項ただし書の規定によって特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えたものとする。))によって生ずる応力度が、建築物の構造耐力上主要な部分の各断面のいずれかにおいて短期に生ずる力に対する許容応力度を超える場合とする。

第2 通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じない柱の構造方法は次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 厚さが12mm以上の石膏ボードで覆ったもの
二 厚さが12mm以上の窯業系サイディングで覆ったもの
三 厚さが12mm以上の繊維強化セメント板で覆ったもの
四 厚さが9mm以上の石膏ボードに厚さが9mm以上の石膏ボード又は難燃合板を重ねて覆ったもの
五 厚さが15mm以上の鉄網モルタル塗りで覆ったもの

おすすめ法令集を以下に貼付けします。

告示第1356号第1について

前述のとおり、原則として、鉄骨造で地階を除く階数が3以上の建築物では、柱に防火被覆を施す必要があります。
ただし、当該告示第1に基づいて構造的な検証を行い、所定の条件を満たすことが確認できた場合には、その柱については防火被覆を省略することができます。

具体的な検証方法は、次のとおりです。

① 防火被覆を省略したい柱を1本抜いた状態を想定し、そのときの各部材の長期応力を求める。
② ①で求めた長期応力と、各部材の短期許容応力度を比較し、長期応力が短期許容応力度以下であることを確認する。
③ ②の条件を満たす場合は、その柱について防火被覆をしないことができる。
④ 防火被覆を省略したい柱ごとに、①〜③の検討をそれぞれ行う。

一の柱とは

本文中に「一の柱」という文言が出てくるため、「1階の柱だけ防火被覆をすればよい」という意味に誤解されることがありますが、そのような趣旨ではありません。

この規定では、特定の階の柱だけを対象としているのではなく、各階の柱が防火被覆の対象となります。

この点については、以下の書籍でも解説されています。
高価ではありますが、建築構造に携わる方にとっては、手元に置いておきたい定番の書籍といえます。

告示第1356号第2について

第2では、柱の防火被覆の方法として、次の仕様が定められています。
第1に基づく検証を行わない柱については、原則として、これらのいずれかの方法により防火被覆を行う必要があります。

  • 厚さ12mm以上の石膏ボードで覆う方法
  • 厚さ12mm以上の窯業系サイディングで覆う方法
  • 厚さ12mm以上の繊維強化セメント板で覆う方法
  • 厚さ9mm以上の石膏ボードの上に、厚さ9mm以上の石膏ボードまたは難燃合板を重ねて覆う方法
  • 厚さ15mm以上の鉄網モルタル塗りで覆う方法

また、これらの仕様による方法のほか、国土交通大臣の認定を受けた材料や工法によって防火被覆等を行う方法も認められています。

以下、参考として、認定塗料を取り扱う会社のホームページを掲載します。

SKタイカコート | 製品情報 | 耐火被覆材・不燃断熱材 - エスケー化研株式会社

Q&A

Q:間柱も防火被覆の対象になりますか?

A:基本的に、軸力を負担していない間柱は防火被覆の対象になりません。
そもそもこの規定は、火災時に柱が耐力を失って建物が危険な状態になることを防ぐためのものです。
そのため、ラーメン架構の主柱のように建物を支える柱は被覆が必要ですが、壁を留めるための間柱のように、構造耐力を負担していない部材は通常、被覆不要です。


Q:建物全体としては3階建て以上でも、一部がセットバックしていて平屋になっている場合、その部分の柱は防火被覆不要になりますか?

A:不要にはなりません。建物が地階を除く3階建て以上である以上、原則として、すべての柱が防火被覆の対象となります。

  • この記事を書いた人

TAK

新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法をはじめ、建築物に関するお役立ち情報を発信します。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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