・容積率の緩和にはどれくらい使える?
・いつ改正された?
・何を置ける?
・注意点は?
一級建築基準適合判定資格者/一級建築士が解説します。
備蓄倉庫とは
備蓄倉庫とは、建物内に設ける防災用の倉庫のことで、建築基準法施行令第2条では「専ら防災のために設ける備蓄倉庫」と規定されています。
主に、災害時に使用する食料や飲料水、懐中電灯、避難はしごなどの避難用具を保管するための倉庫です。
建築基準法施行令第2条第1項
以下に条文を記載します。
建築基準法施行令第2条第1項
次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、当該各号に定めるところによる。
四 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第52条第1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。
ロ 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第3項第二号及び第137条の8において「備蓄倉庫部分」という。)
↓↓おすすめ法令集です。
容積率の緩和
備蓄倉庫は、建築基準法上、容積率算定に用いる床面積から一定範囲を除外することができます。
具体的には、建築物の延べ面積の50分の1までであれば、備蓄倉庫の床面積を容積率算定用の床面積に算入しないことが可能です。
例えば、延べ面積1,000㎡の建築物に備蓄倉庫100㎡を設けた場合、
容積率算定用の床面積から除外できるのは、1,000㎡ ÷ 50 = 20㎡ までです。
したがって、この場合、備蓄倉庫100㎡のうち20㎡のみが容積率算定上不算入となります。
備蓄倉庫の床面積すべてが容積率の対象外になるわけではないため、その点には注意が必要です。
建築基準法施行令第2条第3項
以下に該当条文を記載します。
建築基準法施行令第2条第3項
第1項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。
一 自動車車庫等部分 5分の1
二 備蓄倉庫部分 50分の1
三 蓄電池設置部分 50分の1
四 自家発電設備設置部分 100分の1
五 貯水槽設置部分 100分の1
六 宅配ボックス設置部分 100分の1
建築基準法施行令第2条第3項において、備蓄倉庫部分の床面積のうち、敷地内の建物の合計延べ面積の 1/50 までを容積率対象から除外することができると規定されています。
技術的助言(国住指第2315号)【容積率の算定の基礎となる延べ面積の算定方法の合理化】
平成24年9月20日の建築基準法改正により、備蓄倉庫に関する容積率緩和が利用できるようになりました。
そのため、平成24年9月20日以前に建てられた建築物で増築等を検討する場合、容積率に余裕がないケースであっても、建物内に備蓄倉庫を新設することで、増築可能な床面積を確保できる可能性があります。
また、備蓄倉庫等に関する運用については、平成24年9月27日付で国土交通省から技術的助言(国住指第2315号)が発出されています。
この技術的助言では、備蓄倉庫について、次のような取扱いが示されています。
- 非常用食糧、応急救助物資等を備蓄するための、防災専用の倉庫であること
- 利用者に分かりやすい位置に、当該倉庫が備蓄倉庫である旨の表示がされていること
- 壁で囲われた専用室であること
これらの要件を満たさない場合は、備蓄倉庫としては扱われません。

以下に、当該技術的助言を掲載します。
注意点①
備蓄倉庫部分に、掃除用具入れなど本来の備蓄用途とは異なるものを保管している場合、当該部分は備蓄倉庫として扱われず、容積率算定上の不算入対象とならない可能性があります。
その結果、当該部分を容積率対象床面積に算入すると規定容積率を超過する場合には、建築基準法違反となるおそれがあります。
また、逆に何も保管されていない場合であっても、実態として備蓄倉庫として使用されていないと判断されれば、同様に容積率算定上の不算入が認められない可能性があります。
そのため、備蓄倉庫については、用途と実態が一致していることが重要であり、遵法性の観点からも注意が必要です。
注意点②
テナントビル等において、テナント区画内に備蓄倉庫が設けられており、かつ賃貸借契約書上も賃貸面積に含まれている場合には、当該備蓄倉庫がテナント側に専有されることになるため、同様の問題が生じます。
これは、備蓄倉庫が本来、建物全体の防災を目的として、緊急時の物資を保管するためのものであるためです。
そのため、特定のテナントのみが専有・使用する状態は、備蓄倉庫の趣旨に適合しないおそれがあります。
また、テナントによって壁が撤去されるなど、備蓄倉庫としての形態が失われるリスクもあるため、オーナー側としても十分注意が必要です。