建築 建築基準法(構造) 資格

ルート2主事とは【ルート2主事が解説】

・ルート2主事って何?
・正式名称は?
・根拠法令は?
・試験は難しい?

ルート2主事(特定建築基準適合判定資格者)が解説します。

ルート2主事とは

ルート2主事は通称で、その正式名称は、「特定建築基準適合判定資格者(とくていけんちくきじゅんてきごうはんていしかくしゃ)」です。

ルート2主事は、建築基準法第6条の3において登場します。

法第6条の3第1項
建築主は、第6条第1項の場合において、申請に係る建築物の計画が第20条第1項第2号若しくは第3号に定める基準(同項第2号イ又は第3号イの政令で定める基準に従つた構造計算で、同項第2号イに規定する方法若しくはプログラムによるもの又は同項第3号イに規定するプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分に限る。以下「特定構造計算基準」という。)又は第3条第2項(第86条の9第1項において準用する場合を含む。)の規定により第20条の規定の適用を受けない建築物について第86条の7第1項の政令で定める範囲内において増築若しくは改築をする場合における同項の政令で定める基準(特定構造計算基準に相当する基準として政令で定めるものに限る。以下「特定増改築構造計算基準」という。)に適合するかどうかの確認審査(第6条第4項に規定する審査又は前条第1項の規定による確認のための審査をいう。以下この項において同じ。)を要するものであるときは、構造計算適合性判定(当該建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの判定をいう。以下同じ。)の申請書を提出して都道府県知事の構造計算適合性判定を受けなければならない。
ただし、当該建築物の計画が特定構造計算基準(第20条第1項第2号イの政令で定める基準に従つた構造計算で同号イに規定する方法によるものによつて確かめられる安全性を有することに係る部分のうち確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)又は特定増改築構造計算基準(確認審査が比較的容易にできるものとして政令で定めるものに限る。)に適合するかどうかを、構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を有する者として国土交通省令で定める要件を備える者である建築主事が第6条第4項に規定する審査をする場合又は前条第1項の規定による指定を受けた者が当該国土交通省令で定める要件を備える者である第77条の24第1項の確認検査員に前条第1項の規定による確認のための審査をさせる場合は、この限りでない。

上記法文の赤字の部分がルート2主事についての記載です。上記法文を簡単に要約すると、次のようになります。

「建築物の計画が特定構造計算基準又は特定増改築構造計算基準に適合するかどうかの確認審査を要する場合は、構造計算適合性判定(通称:構造適判)を受けなければならないが、ルート2の構造計算を行った建築物は、ルート2主事が審査する場合は構造適判が不要になる。」

さらにかみ砕いて説明すると、建築物の構造計算は大きくルート1~3に分類され(他にもありますが説明を簡単にするため省きます)、ルート1が最も簡単な計算で、ルート3が最も詳細な計算を行います。
ルート2、3の構造計算を行っている場合、確認検査機関とは別の適判機関に構造適判を受ける必要がありますが、確認検査機関にルート2主事がいる場合はルート2の建築物に限り構造適判が不要になるということです。

ルート2主事の詳細な規定は、施行規則第3条の13にされています。

施行規則第3条の13第1項
法第六条の三第一項ただし書の国土交通省令で定める要件は、次の各号のいずれか(同項第二号に掲げる確認審査にあつては、第二号)に該当する者(以下「特定建築基準適合判定資格者」という。)であることとする。
一 建築士法第十条の三第四項に規定する構造設計一級建築士
二 法第七十七条の六十六第一項の登録を受けている者(以下「構造計算適合判定資格者」という。)
三 構造計算に関する高度の専門的知識及び技術を習得させるための講習であつて、次条から第三条の十六までの規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録特定建築基準適合判定資格者講習」という。)を修了した者
四 前三号に掲げる者のほか国土交通大臣が定める者

ここではじめて「特定建築基準適合判定資格者」が出てきます。

構造設計一級建築士や構造計算適合判定資格者もルート2主事として認められますが、私は第三号の登録特定建築基準適合判定資格者講習を修了した者に該当します。

ルート2主事試験について

前述の登録特定建築基準適合判定資格者講習のことを通称ルート2主事試験などと呼びます。

試験は平成29年度から3年に一度、一般財団法人日本建築防災協会により実施されています。

一般財団法人日本建築防災協会のHPはこちら


Web講習が実施され、その後、修了考査が行われます。

試験内容は、四肢択一式問題20問、記述式問題2問からなります。

前回(令和5年度)の合格率は、43.5%でした。

次回は2026年(令和8年度)11月実施が想定されます。

建築系の資格を多数所有している私の主観による試験の難易度を難しい順に並べてみました。

◎試験の難易度比較(完全主観)
一級建築士>>>>>>>>一級建築基準適合判定資格者>宅地建物取引士>特定建築基準適合判定資格者>その他の資格

試験勉強の辛さも加味しました。一級建築士が圧倒的に大変で、それ以外は上記の順番に難しかったです。ルート2主事は宅建士の次くらいでした。

とはいっても、構造について実務で触れていない方からすればかなり難しい試験にはなると思います。

逆に言えば、構造についての実務に普段から触れている方からすれば、あまり難しい試験ではないかと思います。

試験対策としては、過去問を解く、黄色本(建築物の構造関係技術基準解説書)のルート2に関する部分を読みこむなどです。

ルート2の構造計算を行う場合の構造適判の要否

申請先の確認検査機関や行政庁にルート2主事が在籍しているかは、申請先に直接確認しておきましょう(大手の確認検査機関であればほぼほぼ在籍してます)。

また、ルート2でも、大臣認定プログラムを用いて構造計算を行っている場合は構造適判が必要となります。

実務においては現状、大臣認定プログラムはほぼ使用されませんが、頭の片隅に入れておきましょう。

ルート2で構造適判が不要になる条件を以下にまとめました。

ルート2で構造適判不要となる条件
・大臣認定プログラムを使用していない
・確認申請の提出先にルート2主事が在籍している

まとめ

・ルート2主事=特定建築基準適合判定資格者(法第6条の3第1項、施行規則第3条の13第1項に規定)

・ルート2主事試験の難易度はそれなりに難しい。

・ルート2の構造計算を行う建築物は、構造適判が不要になる場合と必要になる場合がある。


今回は以上です。記事をお読みいただき、ありがとうございました。

  • この記事を書いた人

TAK

30代前半。新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法等に関する情報を発信。 強く、そして美しくなることを目標に、トレーニングや美容・健康管理に励む。体脂肪率は常に一桁を維持。 日焼けを避けるため、夜のランニングを好むナイトラン派。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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