・ZEBって何?
・Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedとの違いは?
・ZEBの申請方法は?
省エネ適合判定員/一級建築士である筆者が解説します。
ZEBとは
まずは結論から。
ZEB=Net Zero Energy Bilding(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
定性的な定義:先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の室を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物
定量的な定義:次の①②のすべてに適合した建築物
①再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減
②再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減
つまり、省エネ化かつ再生可能エネルギーの導入をし創エネをすることで、トータルのエネルギー消費量をゼロにした建築物ということです。実務では「ゼブ」と呼んでいます。
Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Oriented について
似ている名前のものに「Nearly ZEB」「ZEB Ready」「ZEB Oriented」があります。
それぞれの定義を解説します。
Nearly ZEB(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
定性的な定義:ZEBに限りなく近い建築物として、ZEB Ready の要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた建築物
定量的な定義:次の①②のすべてに適合した建築物
①再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減
②再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減
ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ)
定性的な定義:ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物
定量的な定義:再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減
ZEB Oriented(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・オリエンテッド)
定性的な定義:ZEB Ready を見据えた建築物として、外皮の高性能化及び高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物
定量的な定義:次の①②の要件を満たす建築物
①該当する用途毎に、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から規定する一次エネルギー消費量を削減すること
A)事務所等、学校等、工場等は40%以上の一次エネルギー消費量削減
B)ホテル等、病院等、百貨店等、飲食店等、集会所等は30%以上の一次エネルギー消費量削減
②更なる省エネルギーの実現に向けた措置として、未評価技術を導入すること
省エネ性能の順番としては、以下のようになります。
ZEB > Nearly ZEB >ZEB Ready >ZEB Oriented
図で表すと以下のようになります。

出典:環境省
ZEBの評価方法
ZEB等の評価には、建築物省エネ法におけるBEIを使用します。
※BEIについては、こちらの記事で解説しています。
再生可能エネルギーを除きBEI≦0.50の場合にZEB Ready、さらに再生可能エネルギー導入によって0.00<BEI≦0.25となる場合にはNearly ZEB、BEI≦0.00となる場合には『ZEB』と判定されます。
ZEBであることを証明するための公的な制度として、BELS(Building-Housing-Energy-efficiency Labeling System)(ベルス)があります。
BELSでは、BEIの値によって星の数で評価が行われ、性能が良いほど星の数が増えていきます。BELSは第三者評価機関が建築物の省エネ性能を評価して表示する第三者評価です。
BELSの申請先としては、日本ERIなどが有名です。
HP:日本ERI㈱
まとめ
今回はZEBについて解説しました。
既存の建物についても、不動産価値向上のため、ZEB化工事を行う事例が近年増えています。
BELSなどの第三者評価制度を積極的に活用していきたいですね。
記事をお読みいただき、ありがとうございました。
