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工作物としての煙突の基準について【建築基準法】

本記事では、工作物としての煙突について解説します。

建築物に設ける煙突については、こちらの記事も参考にしてください。

工作物としての煙突

煙突は、建築物の一部として設けられる場合だけでなく、一定規模を超えると工作物として建築基準法の規制を受ける場合があります。

建築基準法第88条では、煙突、広告塔、高架水槽、擁壁などの一定の工作物について、建築物に関する規定の一部を準用することが定められています。

そして、建築基準法施行令第138条第1項第1号では、工作物として扱われる煙突について、次のように定められています。

高さが6mを超える煙突
※支枠及び支線がある場合は、これらを含む。
※ストーブの煙突を除く。

つまり、高さが6mを超える煙突は、原則として工作物確認申請の対象になります。

注意が必要なのは、施行令第138条第1項第1号では、ストーブの煙突が除かれている点です。

そのため、薪ストーブや暖房用ストーブに設ける煙突については、高さが6mを超える場合であっても、直ちに工作物確認申請の対象になるとは限りません。

ただし、ストーブの煙突であっても、建築物に設ける煙突として、建築基準法施行令第115条の防火上の基準や、消防法・火災予防条例等の確認が不要になるわけではありません。

つまり、ストーブの煙突は、工作物としての確認申請対象からは除かれる場合がある一方で、建築物に設ける煙突としての防火措置は別途確認が必要です。

なお、冷暖房用ボイラーのように建築物に附属する煙突は、建築設備であり、原則として建築物の一部として扱われます。


建築物に設ける煙突との違い

煙突については、建築物に設ける煙突の規定と、工作物としての煙突の規定を分けて考える必要があります。

区分根拠条文主な内容
建築物に設ける煙突建築基準法施行令第115条防火上安全な構造、屋上突出高さ、可燃材料との離隔など
工作物としての煙突建築基準法第88条、施行令第138条高さ6m超の煙突について確認申請において構造安全性等を確認

施行令第115条は、煙突の防火上の構造基準を定めたものです。

一方、施行令第138条は、一定規模を超える煙突を工作物として扱い、建築基準法の一部規定を準用するための規定です。


建築基準法施行令第139条

建築基準法施行令第139条は、工作物として扱われる煙突及び煙突の支線に関する構造基準を定めた規定です。

施行令第139条では、この「高さ6mを超える煙突」について、法第88条第1項で準用される法第20条第1項の技術的基準、つまり構造耐力上の安全性に関する基準を定めています。

施行令第139条の主な内容

施行令第139条では、工作物としての煙突について、主に以下の事項が定められています。

項目内容
対象令第138条第1項第1号に掲げる煙突、つまり高さ6m超の煙突
基本的な目的煙突の崩落・倒壊を防止すること
高さ16m超の煙突RC造、SRC造又は鋼造とし、支線を要しない構造とする
RC造の煙突鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さを5cm以上とする
陶管・コンクリート管等の煙突管同士をセメントモルタルで接合し、高さに応じて支枠・支線又は鋼製支枠に緊結する
組積造・無筋コンクリート造の煙突崩落を防止できる鋼材の支枠を設ける
支線の端部腐食しにくいくい等、又は防錆・防腐措置を講じたくいに緊結する
高さ60m超の煙突大臣認定による安全性確認が必要
高さ60m以下の煙突国土交通大臣が定める基準による構造計算(平成12年建設省告示第1449号)、又は大臣認定による安全性確認が必要

煙突に準用される規定

煙突には、以下の規定も準用されます。

①施行令第115条第1項第六号、第七号、第5章の4第3節、第7章の8

②大臣認定の場合、①に加え、耐久性等関係規定(第36条、第36条の2、第39条第4項、第41条、第49条、第70条及び第76条(第79条の4及び第80条において準用する場合を含む。)

③大臣認定以外の場合、①に加え、第36条の3、第37条、第38条、第39条第1項及び第2項、第51条第1項、第52条、第3章第5節(第70条を除く。)、第6節(第76条から第78条の2までを除く。)及び第6節の2(第79条の4(第76条から第78条の2までの準用に関する部分に限る。)を除く。)、第80条(第51条第1項、第71条、第72条、第74条及び第75条の準用に関する部分に限る。)並びに第80条の2の規定

詳細は、法令集を参照してください。

条文

建築基準法施行令第139条
第138条第1項に規定する工作物のうち同項第一号に掲げる煙突(以下この条において単に「煙突」という。)に関する法第88条第1項において読み替えて準用する法第20条第1項の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
一 次に掲げる基準に適合する構造方法又はこれと同等以上に煙突の崩落及び倒壊を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いること。
イ 高さが16メートルを超える煙突は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鋼造とし、支線を要しない構造とすること。
ロ 鉄筋コンクリート造の煙突は、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さを5cm以上とすること。
ハ 陶管、コンクリート管その他これらに類する管で造られた煙突は、次に定めるところによること。
(1) 管と管とをセメントモルタルで接合すること。
(2) 高さが10m以下のものにあつては、その煙突を支えることができる支枠又は支枠及び支線を設けて、これに緊結すること。
(3) 高さが10mを超えるものにあつては、その煙突を支えることができる鋼製の支枠を設けて、これに緊結すること。
ニ 組積造又は無筋コンクリート造の煙突は、その崩落を防ぐことができる鋼材の支枠を設けること。
ホ 煙突の支線の端部にあつては、鉄筋コンクリート造のくいその他腐食するおそれのない建築物若しくは工作物又は有効なさび止め若しくは防腐の措置を講じたくいに緊結すること。
二 次項から第4項までにおいて準用する規定(第7章の8の規定を除く。)に適合する構造方法を用いること。
三 高さが60mを超える煙突にあつては、その用いる構造方法が、荷重及び外力によつて煙突の各部分に連続的に生ずる力及び変形を把握することその他の国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
四 高さが60m以下の煙突にあつては、その用いる構造方法が、次のイ又はロのいずれかに適合すること。
イ 国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。
ロ 前号の国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
2 煙突については、第115条第1項第六号及び第七号、第5章の4第3節並びに第7章の8の規定を準用する。
3 第1項第三号又は第四号ロの規定により国土交通大臣の認定を受けた構造方法を用いる煙突については、前項に規定するもののほか、耐久性等関係規定(第36条、第36条の2、第39条第4項、第41条、第49条、第70条及び第76条(第79条の4及び第80条において準用する場合を含む。)の規定を除く。)を準用する。
4 前項に規定する煙突以外の煙突については、第2項に規定するもののほか、第36条の3、第37条、第38条、第39条第1項及び第2項、第51条第1項、第52条、第3章第5節(第70条を除く。)、第6節(第76条から第78条の2までを除く。)及び第6節の2(第79条の4(第76条から第78条の2までの準用に関する部分に限る。)を除く。)、第80条(第51条第1項、第71条、第72条、第74条及び第75条の準用に関する部分に限る。)並びに第80条の2の規定を準用する。


構造計算基準(平成12年建設省告示第1449号)

煙突の構造計算基準は、告示1449号第1にて規定されています。

以下に記載します。

建設省告示第1449号 第1

煙突、鉄筋コンクリート造の柱等、広告塔又は高架水槽及び擁壁並びに乗用エレベーター又はエスカレーターの構造計算の基準を改める件

1 建築基準法施行令(以下「令」という。)第138条第1項に規定する工作物のうち同項第一号及び第二号に掲げる煙突及び鉄筋コンクリート造の柱等(以下「煙突等」という。)の構造計算の基準は、次のとおりとする。

一 煙突等の風圧力に関する構造計算は、次に定めるところによること。

イ 令第87条第2項の規定により計算した速度圧に、同条第四項に規定する風力係数を乗じて得た風圧力に対して構造耐力上安全であることを確かめること。この場合において、令第87条第2項中「建築物の屋根の高さ」とあるのは、「煙突等の地盤面からの高さ」と読み替えるものとする。

ロ 必要に応じ、風向と直角方向に作用する風圧力に対して構造耐力上安全であることを確かめること。

二 煙突等の地震力に関する構造計算は、次に定めるところによること。

ただし、煙突等の規模又は構造形式に基づき振動特性を考慮し、実況に応じた地震力を計算して構造耐力上安全であることが確かめられた場合にあっては、この限りでない。

イ 煙突等の地上部分の各部分の高さに応じ、それぞれ次の表に掲げる式によって計算した地震力により生ずる曲げモーメント及びせん断力に対して構造耐力上安全であることを確かめること。

項目
曲げモーメント(単位 Nm)0.4hCsiW
せん断力(単位 N)CsiW

この表において、h、Csi及びWは、それぞれ次の数値を表すものとする。
h 煙突等の地盤面からの高さ(単位 m)
Csi 煙突等の地上部分の高さ方向の力の分布を表す係数で計算しようとする当該煙突等の部分の高さに応じて次の式に適合する数値

Csi≧0.3Z(1−hi/h)

この式において、Z及びhiは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Z 令第88条第1項に規定するZの数値
hi 煙突等の地上部分の各部分の地盤面からの高さ(単位 m)
W 煙突等の地上部分の固定荷重と積載荷重との和(単位 N)

ロ 煙突等の地下部分は、地下部分に作用する地震力により生ずる力及び地上部分から伝えられる地震力により生ずる力に対して構造耐力上安全であることを確かめること。この場合において、地下部分に作用する地震力は、煙突等の地下部分の固定荷重と積載荷重との和に次の式に適合する水平震度を乗じて計算するものとする。

k≧0.1(1−H/40)Z

この式において、k、H及びZは、それぞれ次の数値を表すものとする。
k 水平震度
H 煙突等の地下部分の各部分の地盤面からの深さ(20を超えるときは20とする。)(単位 m)
Z 令第88条第1項に規定するZの数値

建設省告示第1449号 第1の要約

建設省告示第1449号 第1は、煙突等の工作物について、

  • 風圧力に対して安全か
  • 地震力に対して安全か
  • 地上部分だけでなく地下部分も安全か
  • 必要に応じて風向直角方向の風圧力も検討しているか

を確認するための構造計算基準です。

煙突は細長く、風や地震の影響を受けやすいため、風圧力・地震力に対して安全であることを構造計算により確認する必要があります。

建設省告示第1449号 第4

煙突等及び広告塔等のうち高さが60mを超えるものの構造計算の基準は、平成12年建設省告示第1461号(第二号ハ、第三号ロ及び第八号を除く。)に掲げる基準によることとする。この場合において、当該各号中「建築物」とあるのは、「工作物」と読み替えるものとする。

平成12年告示1461号とは、超高層建築物の計算基準です。要は、60m超の煙突等については超高層建築物の計算基準を適用するということです。


煙突の構造設計の詳細においては、日本建築学会の構造設計指針を確認してください。

  • この記事を書いた人

TAK

新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法をはじめ、建築物に関するお役立ち情報を発信します。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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