建築 建築基準法(意匠)

軽微な変更とは【意匠関係】

・軽微な変更って何?
・計画変更との違いは?
・どのような場合に軽微な変更となる?

指定確認検査機関で審査を経験した一級建築士/一級建築基準適合判定資格者が解説します。

軽微な変更とは

軽微な変更とは、建築物や工作物の確認申請の確認済証が交付されてから検査済証が交付されるまでの間において、計画が変更になる場合に行う手続きのことです。

確認済証の交付後の計画の変更は、基本的には「計画変更」といって、再度確認申請書の提出をして審査を受ける必要がありますが、変更内容が軽微であれば、この軽微な変更の届出を行うことでOKな場合があります。

軽微な変更に該当する変更は、建築基準法施行規則第3条の2に規定されています。基本的には、このどれかに該当する変更であれば、軽微な変更とすることができます。

以下にまとめました。(一部の表は書ききれないため省略しています)

内容
1敷地に接する道路の幅員及び敷地が道路に接する部分の長さの変更(都市計画区域内、準都市計画区域内及び法第68条の9第1項の規定に基づく条例により建築物又はその敷地と道路との関係が定められた区域内にあつては敷地に接する道路の幅員が大きくなる場合(敷地境界線が変更されない場合に限る。)及び変更後の敷地が道路に接する部分の長さが2m(条例で規定する場合にあつてはその長さ)以上である場合に限る。)
2敷地面積が増加する場合の敷地面積及び敷地境界線の変更(当該敷地境界線の変更により変更前の敷地の一部が除かれる場合を除く。)
3建築物の高さが減少する場合における建築物の高さの変更(建築物の高さの最低限度が定められている区域内の建築物に係るものを除く。)
4建築物の階数が減少する場合における建築物の階数の変更
5建築面積が減少する場合における建築面積の変更(都市計画区域内、準都市計画区域内及び法第68条の9第1項の規定に基づく条例により日影による中高層の建築物の高さの制限が定められた区域内において当該建築物の外壁が隣地境界線又は同一の敷地内の他の建築物若しくは当該建築物の他の部分から後退しない場合及び建築物の建築面積の最低限度が定められている区域内の建築物に係るものを除く。)
6床面積の合計が減少する場合における床面積の変更(都市計画区域内、準都市計画区域内及び法第68条の9第1項の規定に基づく条例の適用を受ける区域内の建築物に係るものにあつては次のイ又はロに掲げるものを除く。)
イ 当該変更により建築物の延べ面積が増加するもの
ロ 建築物の容積率の最低限度が定められている区域内の建築物に係るもの
7用途の変更(令第137条の18で指定する類似の用途相互間におけるものに限る。)
8構造耐力上主要な部分である基礎ぐい、間柱、床版、屋根版又は横架材(小ばりその他これに類するものに限る。)の位置の変更(変更に係る部材及び当該部材に接する部材以外に応力度の変更がない場合であつて、変更に係る部材及び当該部材に接する部材が令第82条各号に規定する構造計算によつて確かめられる安全性を有するものに限る。)
9構造耐力上主要な部分である部材の材料又は構造の変更(変更後の建築材料が変更前の建築材料と異なる変更及び強度又は耐力が減少する変更を除き、第13号の表の上欄に掲げる材料又は構造を変更する場合にあつては、同表の下欄に掲げる材料又は構造とする変更に限る。)
10特定木造建築物の構造耐力上主要な部分である部材の材料若しくは構造の変更(変更後の建築材料(令第46条第3項の床組又は小屋ばり組に用いるもの及び同条第四項の壁又は筋かいに用いるものを除く。以下この号において同じ。)が変更前の建築材料と異なる変更及び前号に掲げる変更を除き、第13号の表の上欄に掲げる材料又は構造を変更する場合にあつては、同表の下欄に掲げる材料又は構造とする変更に限る。)又は位置の変更(第8号に掲げる変更を除く。)
11構造耐力上主要な部分以外の部分であつて、屋根ふき材、内装材(天井を除く。)、外装材、帳壁その他これらに類する建築物の部分、広告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるもの若しくは当該取付け部分、壁又は手すり若しくは手すり壁の材料若しくは構造の変更(第13号の表の上欄に掲げる材料又は構造を変更する場合にあつては、同表の下欄に掲げる材料又は構造とする変更に限る。)又は位置の変更(間仕切壁にあつては、主要構造部であるもの及び防火上主要なものを除く。)
12構造耐力上主要な部分以外の部分である天井の材料若しくは構造の変更(次号の表の上欄に掲げる材料又は構造を変更する場合にあつては同表の下欄に掲げる材料又は構造とする変更に限り、特定天井にあつては変更後の建築材料が変更前の建築材料と異なる変更又は強度若しくは耐力が減少する変更を除き、特定天井以外の天井にあつては特定天井とする変更を除く。)又は位置の変更(特定天井以外の天井にあつては、特定天井とする変更を除く。)
13建築物の材料又は構造において、次の表の上欄に掲げる材料又は構造を同表の下欄に掲げる材料又は構造とする変更(第九号から前号までに係る部分の変更を除く。)
14井戸の位置の変更(くみ取便所の便槽との間の距離が短くなる変更を除く。)
15開口部の位置及び大きさの変更(次のイ又はロに掲げるものを除く。)
イ 令第117条の規定により令第5章第2節の規定の適用を受ける建築物の開口部に係る変更で次の(1)及び(2)に掲げるもの
(1) 当該変更により令第120条第1項又は令第125条第1項の歩行距離が長くなるもの
(2) 令第123条第1項の屋内に設ける避難階段、同条第二項の屋外に設ける避難階段又は同条第3項の特別避難階段に係る開口部に係るもの
ロ 令第126条の6の非常用の進入口に係る変更で、進入口の間隔、幅、高さ及び下端の床面からの高さ並びに進入口に設けるバルコニーに係る令第126条の7第2号、第3号及び第5号に規定する値の範囲を超えることとなるもの
16建築設備の材料、位置又は能力の変更(性能が低下する材料の変更及び能力が減少する変更を除く。)

軽微な変更は、大きく分けると意匠・設備・構造の内容に分類されます。
今回はこのうち、意匠・設備に関する変更について解説します。

まず基本的な考え方として、
有利側の変更は、原則として軽微な変更になると考えて問題ありません。

例えば、建築基準法では、敷地の接道長さを2m以上確保する必要があります。
この接道長さが長くなる方向の変更であれば、法的に有利側の変更となるため、軽微な変更として扱うことができます。
これは、施行規則第3条の2第1号に該当する変更です。

一方で、
建築物の高さが高くなる変更については、新たに建築基準法の規定に抵触する可能性があるため、
原則として計画変更申請が必要となります。

また、用途変更については、
変更後の用途が類似用途に該当しない場合は、計画変更申請が必要となります。

以下が、類似用途の区分表です。

用途
1劇場、映画館、演芸場
2公会堂、集会場
3診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等
4ホテル、旅館
5下宿、寄宿舎
6博物館、美術館、図書館
7体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
8百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
9キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
10待合、料理店
11映画スタジオ、テレビスタジオ

この表の同じ号の中での用途変更であれば、軽微な変更として扱うことができます。

例えば、
劇場 ⇒ 映画館 への用途変更であれば、同一号内の変更となるため軽微な変更に該当します。
・一方で、ホテル ⇒ 寄宿舎 への用途変更は、号をまたぐ変更となるため、計画変更申請が必要となります。

その他、建物の配置変更については、施行規則3条の2に該当する号が無いため、少しでも配置が変わる場合でも計画変更申請が必要となります。

また、開口部の変更については、従来、
・開口部が少しでも減少して採光や換気の条件が不利になる場合
・耐火建築物等において、開口部の移動により延焼ラインに新たに含まれる場合

このようなケースでは、原則として計画変更申請が必要とされていました。

しかし、令和4年の法改正(国住指第1581号)により取扱いが緩和され、
これらのような多少の不利側の変更であっても、内容によっては軽微な変更として扱うことが可能となっています。

国住指第1581号はこちら

そして、換気設備や排煙設備などの建築設備に関しては、能力が低下する変更であれば計画変更申請が必要となります。


ここまで、基本的考え方を解説しました。

計画変更と軽微な変更では手続きが大幅に異なり、特に計画変更申請をする場合は工期に大きな影響を与えるので、

申請先の行政や指定確認検査機関と打合せを行い、慎重に計画を進めていきましょう。

今回の記事は以上です。お読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人

TAK

30代前半。新卒で確認検査機関に入社し、意匠・構造の双方の確認審査業務を経験した元確認検査員。 建築基準法等に関する情報を発信。 強く、そして美しくなることを目標に、トレーニングや美容・健康管理に励む。体脂肪率は常に一桁を維持。 日焼けを避けるため、夜のランニングを好むナイトラン派。 【保有資格】 一級建築士/一級建築基準適合判定資格者/特定建築基準適合判定資格者(ルート2主事)/ 宅地建物取引士/住宅性能評価員/省エネ適合性判定員 ほか

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