・省エネ適判って何?
・どんな計算をする?
・省エネ適判が必要な建物は?
確認検査機関で審査を担当していた一級建築士/一級建築基準適合判定資格者が解説します。
省エネ適判とは
省エネ適判は、正式名称を「建築物エネルギー消費性能適合性判定」といいます。
建築物を新築、増改築する際に確認申請と同じタイミングで省エネ基準に適合しているかの審査の申請を行います。
具体的には、住宅の場合は外皮性能基準(※1)と一次エネルギー消費性能基準(BEI※2)、非住宅の場合は一次エネルギー消費性能基準(BEI※2)に、それぞれ適合する必要があります。
※1 外皮性能は、UA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)により構成され、いずれも地域区分別に規定されている基準値以下となることが必要です。
UA(外皮平均熱貫流率):単位温度差当たりの外皮総熱損失量/外皮総面積
⇒室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標。値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高い。
ηAC(冷房期の平均日射熱取得率):単位日射強度当たりの総日射熱取得量/外皮総面積×100
⇒太陽日射の室内への入りやすさの指標。値が小さいほど日射が入りにくく、遮蔽性能が高い。
※2 BEIは次の算定式により計算され、基準値以下となることが必要です。
BEI:実際に建てる建築物の設計一次エネルギー消費量を、地域や建物用途、室使用条件などにより定められている基準一次エネルギー消費量で除した値
=設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量
【一次エネルギー消費量の算定対象となる設備機器等】
空気調和設備(暖冷房設備)、換気設備、照明設備、給湯設備、昇降機(非住宅のみ)
また、建物用途によって以下の表のように要求されるBEIが異なります。
| 建物用途 | BEI |
| 工場等 | 0.75以下 |
| 事務所等、学校等、ホテル等、百貨店等 | 0.80以下 |
| 病院等、飲食店等、集会所等 | 0.85以下 |
| その他 | 1.0以下 |
実際には、手計算で検討を行うことは不可能なので、
外皮性能の算出については、(一社)住宅性能評価・表示協会のHPで公開されている計算シートが活用可能です。
BEIの算出については、建築研究所のHPで公開されているWebプログラムが活用可能です。
省エネ適判が必要な建物
省エネ適判が必要となるのは、新築、増改築をする建築物(新3号建築物を除く)になります。
また、住宅に限り、以下に該当する場合は、省エネ適判を省略し、建築確認審査と一体的に省エネ基準への適合を確認することになります。
※住宅限定 省エネ適判が省略できる場合
①仕様基準に基づき外皮性能及び一次エネルギー消費性能を評価する住宅
※外皮性能及び一次エネルギー消費性能の両方の基準について仕様基準等により評価する場合のみ省略可
②設計住宅性能評価を受けた住宅の新築
③長期優良住宅建築等計画の認定又は長期使用構造等の確認を受けた住宅の新築
省エネ適判が不要であっても、省エネ基準に適合する必要はあるので注意です。
なお、省エネ基準に適合する必要が無い建物に関しては、省エネ適判も不要です。
こちらの記事で省エネ基準適合義務の適用除外パターンを解説しています。
省エネ適判が下りないと建築確認申請の確認済証が下りないので注意が必要です。
まとめ
省エネ適判=建築物エネルギー消費性能適合性判定
住宅⇒外皮性能基準(UA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(冷房期の平均日射熱取得率))と一次エネルギー消費性能基準(BEI)に適合させる
非住宅⇒一次エネルギー消費性能基準(BEI)に適合させる
BEIは建物用途によって基準が異なる。
| 建物用途 | BEI |
| 工場等 | 0.75以下 |
| 事務所等、学校等、ホテル等、百貨店等 | 0.80以下 |
| 病院等、飲食店等、集会所等 | 0.85以下 |
| その他 | 1.0以下 |
省エネ適判が必要な建物
新築、増改築をする建築物(新3号建築物を除く)
※住宅限定で以下の場合は省エネ適判を省略可
①仕様基準に基づき外皮性能及び一次エネルギー消費性能を評価する住宅
※外皮性能及び一次エネルギー消費性能の両方の基準について仕様基準等により評価する場合のみ省略可
②設計住宅性能評価を受けた住宅の新築
③長期優良住宅建築等計画の認定又は長期使用構造等の確認を受けた住宅の新築
今回の記事は以上です。記事をお読みいただき、ありがとうございました。
