・仕様規定って何?
・仕様規定を除外することはできる?
確認検査機関で構造の審査を担当していた一級建築士/一級建築基準適合判定資格者が解説します。
仕様規定とは
結論から言うと、次のような答えになります。
仕様規定=建築基準法施行令 第3章 第1節~第7節の2
表にすると以下のようになります。
| 第3章 | |
| 第1節 | 総則 |
| 第2節 | 構造部材等 |
| 第3節 | 木造 |
| 第4節 | 組積造 |
| 第4節の2 | 補強コンクリートブロック造 |
| 第5節 | 鉄骨造 |
| 第6節 | 鉄筋コンクリート造 |
| 第6節の2 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
| 第7節 | 無筋コンクリート造 |
| 第7節の2 | その他の構造 |
まず、建築基準法において「仕様規定」という言葉は登場しません。
一般的に実務等において使用される言葉になります。
仕様規定とは、各構造種別において、あらかじめ決められたルールです。設計の際は、このルールを守る必要があります。
ただし、保有水平耐力計算などの構造計算を行った建築物は、一部の仕様規定を除外することができたりもします。
例として、設計において一番登場頻度が高い鉄骨造(第5節)と鉄筋コンクリート造(第6節)を以下に整理します。
| 施行令 | 鉄骨造 |
| 第63条 | 適用の範囲 |
| 第64条 | 材料 |
| 第65条 | 圧縮材の有効細長比 |
| 第66条 | 柱の脚部 |
| 第67条 | 接合 |
| 第68条 | 高力ボルト、ボルト及びリベット |
| 第69条 | 斜材、壁等の配置 |
| 第70条 | 柱の防火被覆 |
| 施行令 | 鉄筋コンクリート造 |
| 第71条 | 適用の範囲 |
| 第72条 | コンクリートの材料 |
| 第73条 | 鉄筋の継手及び定着 |
| 第74条 | コンクリートの強度 |
| 第75条 | コンクリートの養生 |
| 第76条 | 型わく及び支柱の除去 |
| 第77条 | 柱の構造 |
| 第77条の2 | 床版の構造 |
| 第78条 | はりの構造 |
| 第78条の2 | 耐力壁 |
| 第79条 | 鉄筋のかぶり厚さ |
基本的には、これらの規定を守って設計をする必要があります。
例えば、施行令第65条(圧縮材の有効細長比)では、鉄骨造の柱の有効細長比は200以下、柱以外では250以下にしなければならないと規定されています。
施行令第70条(柱の防火被覆)では、地階を除く階数が3以上の建築物の柱について、一定の性能を満たす防火被覆を施す必要があると規定されています。
仕様規定と構造計算基準
施行令第3章第1節の中の第36条において、構造計算基準と仕様規定等の関係が規定されています。適用される仕様規定を整理すると以下のようになります。
時刻歴応答解析⇒耐久性等関係規定
保有水平耐力計算⇒施行令第3章第1節~7節の2の仕様規定(令67条1項、令68条4項、令73条、令77条第二号~六号、令77条の2 2項、令78条、令78条の2 1項第三号を除く)
限界耐力計算⇒耐久性等関係規定
許容応力度等計算、構造計算不要の場合など⇒施行令第3章第1節~7節の2の仕様規定(すべての仕様規定)
※耐久性等関係規定については、以下の記事で解説しています。
保有水平耐力計算や限界耐力計算は、許容応力度計算よりも高度な計算なので、一部の仕様規定の適用を除外することができるとされています。
逆に言うと、これらの計算を行っても、この規定は守らなければいけないということです。
まとめ
・仕様規定とは、設計において守らなければいけないルール
・高度な構造計算を行う場合は、一部の仕様規定を除外することができる。
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
